大分建設新聞

四方山

賭博問題

2024年04月25日
 『源氏物語』の作者、紫式部の生涯をたどるNHK大河ドラマ「光る君へ」。単なる華やかな王朝絵巻と思いきや、平安貴族たちによる陰謀劇、現代と変わらない男女の恋愛模様が繰り広げられるなど、一度見始めると、物語世界にどっぷりとはまってしまう▼紫式部が仕える高貴な姫君が女官たちと双六(すごろく)に興じるシーンがあった。双六といっても、今日のように一つの駒を動かしてゴールを目指すのとは違って、いくつかの持ち駒を使うバックギャモンのようなゲームで、盤双六と呼ばれた。古代ローマ帝国で生まれ、日本には奈良時代に伝わったとされる▼ほどなく財宝などを賭けるようになり、伝来間もない689年には早くも双六禁止令が発せられた。庶民にも瞬く間に広がり、何度となく禁令が発せられた。平安後期の白河法皇は、この世で思いのままにならない一つに「賽(サイコロ)の目」を挙げるほど、時の最高権力者も盤双六に入れ込んだ▼けれども盤双六は次第に廃れる。賭博としてはルールが複雑だったからだ。サイコロの目だけで勝負する丁半賭博に取って代わられた。大リーグの大谷翔平選手の元通訳がスポーツ賭博にはまり、大谷選手の口座から約24億円の巨額の金を盗んでいた事件。手軽なだけにのめりこんだのだろう。日本でも経済産業省がスポーツ賭博の導入を検討している▼大義名分は地域スポーツの振興だ。今回の事件で水を差された格好だが、議論は再燃するだろう。2017年の久里浜医療センター(神奈川県)の調査によると、ギャンブル依存症の割合は3・6%。フランス1・2%、ドイツ0・2%に比べると突出している。競馬、競輪、宝くじなど公営ギャンブルが盛んな中、国家が率先して政策の資金として賭博に目を付ける。国として健全なのだろうか。(熊)
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