大分建設新聞

インタビュー

長橋 和久さん(国交省総合政策局長)

2023年08月23日
 略歴~京都大学農学部卒。1989年建設省採用。国交省土地・建設産業局企画課長、国交省大臣官房総務課長、道路局次長、不動産・建設経済局長などを経て7月から現職。57歳。愛媛県出身。
 国土交通省の長橋和久総合政策局長が建設専門紙の合同インタビューに応じ、道路・公園などのインフラ分野や、自治体の枠を超えて維持管理を行う「地域インフラ群再生戦略」について、「メンテナンスの体制を大きく転換する取り組みになる」との認識を述べた。自治体への交付金や補助金などの財政支援に加え、受注意欲とノウハウのある企業とのマッチングを促していく。
 群再生戦略は、社会資本整備審議会の部会が昨年12月に提言したもの。行政組織を横断するような取り組みとなるだけに「新しい、行政からは出なかった発想だと思う」と長橋局長は言う。既に全国9ブロックでセミナーを実施しており、今後は得られた知見を横展開していく。
 改正国土強靱化基本法が議員立法で成立したことについては「『5か年対策』以降も中長期的で明確な見通しの下、強靱化が進められることは非常に重要だ」と強調する。
 これまでの強靱化対策が豪雨時の浸水被害の低減につながっている事例もあるといい「一定の効果が出てきている」と見る。今後は効果の発信に加え、受発注者双方の人手不足への対処を検討課題に挙げた。
 岸田政権の看板政策である「新しい資本主義」の中核として、PPP/PFIにも注力する。6月にまとまった政府の行動計画に基づき、空港・下水道などの重点分野や、小規模自治体での導入を推進。官民連携のプラットフォームには地域企業も含めて「多くの人に参加してもらいたい」と話す。インフラ管理での活用も含め「いい事例を積極的に広げていきたい」と力を込める。
 自然の持つ機能をインフラに生かす「グリーンインフラ」も主要施策の一つに位置付ける。生物多様性の回復など新たな概念が社会に浸透する中で、策定から4年がたつ推進戦略の全面改定に向けた作業を進めている。
 社会実装で鍵となるのは「グリーンインフラを市場で評価する手法だ」と指摘する。環境に配慮したオフィスが市場で高く評価されるような仕組みを検討し、民間主導の取り組みを後押しする。「建設業、不動産業はグリーンインフラをリードする産業になる」と期待を寄せる。
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