大分建設新聞

インタビュー

佐藤 美月さん(日本文理大学4年生)

2024年02月01日
 また一人の「けんせつ小町」が誕生する。NBU日本文理大学建築学科環境・地域創生コース4年生の佐藤美月さん(22)だ。すでに施工管理技術者としてゼネコンへの就職が決まっており、その入社前の3月9日、卒論を基にした大学での学びの総仕上げとして、福岡大学で開かれる公益社団法人「土木学会西部支部」での研究成果発表会に参加する。「緊張しますが、楽しみ」と声を弾ませ、静かに闘志を燃やしている。
 父親は国土交通省勤務の施工管理技術者で、佐藤さんが幼い頃から九州各地を転勤していた。「高校生の頃から施工管理技術者を希望していたんです。旅行した際、道路や橋、港などを利用するじゃないですか。面白いという印象があり、インフラに魅力を感じました」。
 大学進学は迷うことなく家族と住む佐伯市から近いNBUの建築学科を選んだ。大学では講義や実習に明け暮れ、あっという間に4年生を迎えたという。昨年9月、卒論のテーマに迷っていたところ、同コース指導教授の中西章敦教授から県建設産業女性活躍推進事業「BLOCKS」の存在を知らされる。
 そこで卒論のテーマとして自らが選んだ「けんせつ小町」が抱える現状と課題・問題を、(企業の)施策・取り組み側と女性技術者側の両サイドから調査することにした。BLOCKSの集まりで生の声を聞いたほか、550人へ調査協力を依頼。アンケートでは建設業界で働く中で不便に感じているところや不満な点、働く上でのやり甲斐や魅力について調査した。女性技術者34人、取り組み実施者28人から回答があった。
 女性技術者の所属企業が感じている不便な点では、現場での仮設を含むトイレの問題と現場事務所での休憩環境に意見が集中しているのに比べ、女性技術者が実際に不便に感じている点は多岐にわたっているのが分かった。
 また、更衣室や生理に関する問題では取り組み側が過度に気を使うことにより、女性技術者が逆にストレスを感じるなどの意見がみられた。佐藤さんは、今回の調査とは別に「土木業界に就職が決まっている女性の悩みの中で、昼食を誰と食べればいいのか」という意外な話も紹介してくれた。
 取り組み実施者が考える女性技術者の不便や不満な点と、女性技術者が感じる部分にはギャップがあることが浮き彫りになっており、学会での発表に生かされるという。
 学会では分野ごとに発表の場があり、そこから優秀講演者として表彰も行われる。今年はNBUから15人ほどが参加する予定で「もちろん表彰を狙います」ときっぱり。柔和な表情の中に厳しい顔がのぞいた。
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