「２年前の中部振興局長の時にインタビューを受けたので、今回は遠慮しようかと思った」と冗談を言いながら笑顔で応じていただいた渡辺淳一さん。
　企業局の印象を尋ねると「今まで基本的に人事畑が長くて、それ以外は農林水産部に在籍したことがあるくらい。企業局は全く初めての職場だ」という。この２カ月間で現地視察や説明を受けてきた。「一つは、経営の部分でしっかり利益を生み組織を運営していく経営感覚が必要だ」ということ。一方で「電気事業では、水力発電というクリーンなエネルギーの電力需要が増す中で、提供しているのは社会的意義がある」と思っている。また、工業用水も必要とする企業のために供給しており、経営という企業的な部分がある一方で、公益的な部分もあり「両方あって面白いと感じている」と語る渡辺さん。
　電気事業では、発電所がリニューアルの最中で、工業用水施設も老朽化対策を行っており、当分は人力と費用をかける必要がある。総務部長時代は「お金を繰り出してくれるありがたい存在と見ていたが、繰り出す立場になりリニューアルが完了するまでは苦労すると思う」と話す。また、完全に利潤追求で経営しているわけではなく「気持ち的には社会的基盤をしっかり支え、社会の役に立つように経営し、事業を安定し続けていくことが非常に大事だ」と思っている。
　特に工業用水が止まると、企業に多大な迷惑を掛けることになるので、職員は一丸となってしっかり運営しないといけない意識が強く「非常に真面目でよくやるな」と職員に全幅の信頼を置いている。　
　今の課題を聞くと「人材の確保だ。今年は例年以上に中途退職者が多くて欠員が出た。今までのように待っているだけでは人材は確保できない。今年度から社会人枠を設けることをはじめ、高校生などを対象にインターンシップに力を入れたい」と考えている。「かなり踏み込んで採用活動をしないと人材確保はできない。これまでの人事の長い経験を生かして、一生懸命に取り組む。若い人に独身住宅の建て替えなど企業局の魅力を訴えていきたい」と意気込んだ。
　また、建設業界に向けて「われわれが安全安心に暮らしていけるのは、建設業のおかげだと熊本地震で身に染みて分かった」と感謝した。
　趣味は、ギターでヒューマンシングという４人編成のバンドに所属し、ボーカルもこなすビートルズナンバーが主だが、クイーンなどもカバーしており「音楽をやってきたおかげで救われたことが多い」と楽しそうに語った。別府市出身の59歳。