大分建設新聞

インタビュー

西岡 隆さん(臼杵市長)

2025年07月29日
愛媛県四国中央市出身。1995年大阪大学理工学部数学科卒業後、厚生労働省入省。2009年、13年に臼杵市役所に赴任。23年こども家庭庁長官官房参事官を経て、市長選に出馬表明。25年1月から現職。
 昨年12月、任期満了に伴う臼杵市長選が行われ、無所属の新人で西岡隆さんが初当選を果たした。1995年、現在の厚生労働省に入省し、保険局調査課長などを務めたほか、市には2度にわたって出向した経験も。選挙戦では、中央省庁で培った知識と経験、市への強い思いを強調。現市政の継承を掲げ、子育てがしやすく、安心して暮らせるまちづくりや地域の魅力発信などを訴え、支持を広げた。
 知名度があるとは言えない中での選挙戦を振り返ってもらうと、「臼杵に根付いた歴史・文化など、残すべきものはしっかり残していくことを前面に、次のステップとしてデジタル技術の進歩や物価高騰などの新しい変化に対応する。そして、今までにない新たな取り組みをしていくというメッセージに若い世代が共感してくれた」ことが大きい勝因と語る。
 1月に市長就任。「リ・スタートうすき」をスローガンに掲げて、市が安心して暮らせるまち、誰もが誇りに思えるまちであり続けるために全力で取り組む決意を新たにした。新市政が目指す重点施策「子育てしやすく、働きやすいまちづくり」「地域資源の魅力発信」「住み慣れた地域で安心して暮らせるまち」という三つの柱についてスピード感をもって進めていく。
 今後、注力する事業としては、防災・住環境・道路のインフラ整備の三つを挙げ、「事業費が大きく膨らむので一度にできないが、その道筋はしっかりつけたい」とする。防災では、まずソフト面に注目。2011年の東日本大震災から十数年が経過したこともあり、市民の防災意識について懸念する。「その当時、地域の支え手であった人たちが、当時のようにしっかり支えられるかが課題。3月に国から示された被害想定について、それぞれの地区で発災時の支え合いの枠組みを再検討することが必要だ」と語る。
 住環境については、野津中学校に隣接する市有地で、人口減少の対応策で定住者向けの宅地造成が進行中だ。周辺は、学校や商業施設、公共施設などもあり、「特に若い家族層に住みやすい場になれば」と強調する。今年度は約50区画を整備し、十数区画を販売する予定だ。
 県でも推進する広域交通ネットワークについては、ハード基盤整備の中でも大きなテーマ。臼杵港新フェリーターミナル2バース目の早期完成、東日本自動車道路の4車線化に加え、中九州横断道路犬飼―大分間の早期事業化と、その中間に吉野ICを設置することが重要に。その事業効果は「地域の道路利活用効果が最大限に発揮される上に、臼杵港―八幡浜を経て四国、関西への物流拠点になる」と市の未来を見据える。と同時に、市内で大型貨物車両の通行増も想定されることから「市民の声をしっかり聞いて計画を進めたい」とする。
 今年は、1月に市制20周年を迎えた節目の年。さらに10年先の将来像として、「次世代に誇れるまちづくり」を挙げる。これまでの取り組みを継承しつつ、さらに磨き上げ、市を取り巻くさまざまな変化に対応するため、「掬ぶ、つなぐ、そして創造する」をテーマとする第3次総合計画を策定中だ。市政を進める上で、座右の銘「不易流行」(変わらない本質を忘れずに、新しいものを積極的に取り入れていくことが重要)との共通点を指摘しつつ、市民との対話も大切にしながら協力と支援を呼び掛ける。
 休日の過ごし方は、自動車や徒歩での市内散策。宗教宗派を超えた巡礼地や歴史スポットなどを巡るスタンプラリー「うすき祈りの回廊」の4ルート、33カ所のスタンプをコンプリートした。山や海の幸が豊富な食のぜいたく空間にも感銘し、「都市部から来た人にも自慢できる。市外から来た自分も情報発信していきたい」と話す。「臼杵の知らないところをなくしたい」という、臼杵大好き人間である。
(小寺賢一)
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