大分建設新聞

インタビュー

岩崎 泰彦さん(九州地方整備局長)

2013年10月25日
 9月4日付けで九州地方整備局長に就任した岩崎泰彦氏は、九州建設専門記者クラブの共同インタビューに応じ、「九州は観光資源や自然環境などに恵まれている。しかし、台風や火山噴火など災害多発地帯でもある。今よりもさらに、地域の魅力を引き出し、安全・安心を高めるために、交通ネットワークの充実や防災・減災対策などのインフラ整備に力を入れたい」と抱負を語った。  九州での勤務は2回目。前回は、福岡県に出向し、県土整備部長を3年間務めた。「福岡県庁時代に、九州の良さを知った。またここで仕事が出来てうれしい」と話し、「九州は東アジアからの玄関口であり、近代産業発祥の地でもある。また、観光資源も豊富で海外からも注目されている。九州が持つポテンシャルをさらに高めるためにインフラ整備を進めたい」と意欲を見せた。  前任地は東北地方整備局。東日本大震災発生直後の23年7月に副局長に就任し、復興事業などに前線で取り組んできた。被災地では、地域建設業と社会資本整備の重要性を改めて実感したという。「建設業は、これまでの公共事業削減などで疲弊しており、今がギリギリの状態だと思う。このままでは地域を守ることができなくなってしまう」と危惧する。  「スケールメリットを発揮できる発注ロットの大型化や、入札・契約手続きの簡略化など、今の体制でもこなせるように発注者側が工夫したい」と資機材や人材不足など、多くの課題が山積する中で復旧・復興事業に取り組んだ経験を生かしていく。「例えば、生コンが足りなかったら二次製品に代えるなど、柔軟に対応していく。また、そういった際にかかった費用はきちんと支払うなどきめ細やかな対応を心掛ける」とも。  インフラ整備については、「新設、維持管理とも、必要なものはできるだけ早く整備していきたい」と強調。維持管理については、しっかりとした補修計画を立て効率的に進めるとともに、「『道の駅』などのような、既存ストックに付加価値を付け有効活用していきたい」と語る。防災・減災対策は、ハード面の整備以外にも、地方自治体への支援や情報提供の円滑化、学校教育などソフト面も含めて総合的に進めていきたい考えだ。  防災・減災対策や維持管理など社会資本整備の必要性が見直されつつある今が、建設業界再生のチャンスと捉えている。不透明な先行きに慎重になっている建設業者が、若者の雇用や事業拡大に安心して踏み切れるよう、安定的な事業量の確保を目指す。建設業界は高齢化が深刻化しているが、若者が集まるような魅力ある業界づくりにも取り組んでいく。  東北では、復旧・復興事業に一体となって取り組んだ建設業を、お互いに〝戦友〟と呼んでいたという。「国土を守る」という仕事をともに進めている限り、九州に来てもその気持ちは変わらない。「困ったことがあればいつでも声をあげて欲しい。地域の発展、業界の健全な発展のためにお互いに協力していきたい」と力強く話した。 略歴  昭和57年3月北海道大学大学院修了、同年4月旧建設省入り。主に道路関係の仕事に長く携わってきた。アメリカ合衆国道路庁に出向したことも。国土計画局調整課長、北海道局地政課長、東北地方整備局副局長を経て、今年9月現職。56歳。




名鑑CDバナー
インボイス
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP