大分建設新聞

インタビュー

佐藤 壮志さん(㈱河野測量設計代表取締役)

2023年01月06日
 2021年4月の突然の社長就任から1年半余り。「働き方改革に一定の目途がついた」と言う㈱河野測量設計(豊後大野市)の佐藤壮志社長に話を聞いた。
 19年の秋から副社長を務めており「じっくりと会社を整える準備をしなければと思っていたので、深刻に考えていた人手不足にまずは手を付けた」と振り返る。思ったように採用が進まない現実が頭の片隅にずっとある中、コロナでリモートの必要性が当たり前になってきたので「思い切って大分市内にオフィスを設けたところ、好立地による求人効果も表れ、想定した人が集まり、サテライトオフィスができた」と会社を整える足掛かりができたという。
 佐藤さんの考える働き方改革は、人手不足の解消を人数だけで解決するのではなく「個人の長所を生かして目標を高く持ち成長するように、膝と膝を突き合わせて誠実に思いを伝えること」。全体ミーティングの回数を増やし、内容と質を向上させることで社員が生き生きとしてきたそうだ。
 「頑張れば頑張った分、報酬も増えるということを社員も実感するようになった」と佐藤さんは、トップのビジョンを社員に伝える大切さを強調する。
 法を守り、残業、休日出勤も減った上で実績が確保できて、働き方改革の推進を実感しながらも、県内は自然災害の被害が大きく「業務は多忙を極めている」と目の前に立ちはだかる現実は厳しい。しかし、佐藤さんは、困難を気合で乗り切るのではなく「事務所の一人一人の技術力を高めることが大切で、それには多忙を理由に手を緩めることはない」と話し、自身も苦労した「スキルアップにかかる費用も会社が負担して支援する」と会社ぐるみの後押しを強調した。
 一方で「福利厚生に社員の意見を反映させる中で、女性の意見も積極的に取り入れて好評を得ている」と社員主体の会社づくりにも真剣だ。
 今でも頼りにしている(自分の中の)1人の技術者をお手本に、多様な業務を経験してきたので「測量は10年で一人前、設計はさらに年数がかかる。資格を取得して終わりではなく、経験を積ませてマルチプレイヤーを育てる」のが佐藤さんの人材育成の考え方だ。
 「やりがいを感じられる地域貢献の一翼を担うインフラの維持管理。これが今後の柱と考える。たとえ社長であろうとも1人の技術者としての終わりはない」と自身を奮い立たせ、「1人で仕事はできない、社員一人一人を大切にしなければならない。この会社に入って良かった、と思ってもらいたい」。佐藤さんの強い思いである。
 忙しさの中、趣味の釣りや家族サービスのドライブに加えて、地域の役目として学校行事にも参加し人脈形成も怠らない。
名鑑CDバナー
インボイス
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP