大分建設新聞

インタビュー

嶋田 和洋さん(㈱財前組社長)

2023年02月28日
 今年、創業110周年を迎える国東市の㈱財前組(国東町)を訪ねた。
 同社は2年ほど前、M&Aにより大分市のワタナベグループ㈱の構成会社となり、2020年10月1日付で同グループから出向した嶋田和洋氏が4代目社長に就任している。
 嶋田社長の話は、前向きな言葉と挑戦する姿勢―に尽きる。嶋田さんは、ワタナベグループのメイン企業である渡辺企画を、同年代の社長と一緒に汗を流して会社をここまで成長させてきた。そんなエネルギーの持ち主だからだろう、熱弁をふるうわけでもなく、むしろ静かに話す言葉に若さと勢いが漲っている。
 新たに引き受けた財前組について「100年を超える会社の看板を守るのはすごいプレッシャーだ」としながらも、社員が全員残ってくれたことで「国東の地で会社をつないでいくためのしっかりとした礎を感じている」と話す。
 安心して任せられるベテラン社員には、今まで通り国東の社会資本整備にしっかりと取り組んでもらう一方で、「新しいことへの挑戦意欲を示す若い社員には市外の仕事も経験してもらい、今までにないキャリア形成へのチャレンジをしてほしい」と期待を寄せる。
 同時に、地元国東高校の卒業生にも熱いエールを送っている。「高校科目の環境土木科にはこだわらない」という嶋田さん自身、土木や建築を学んだわけではなく「建設産業に魅力を感じられる人材なら大丈夫」と柔軟な考え方をしている。
 給与条件をはじめ、定時での就業など働き方改革の進んでいる建設産業だが、まだ高校生や保護者には深く浸透していない面もあり、それだけにインターンシップには期待している。「インターンシップの時期や期間を改善すれば、もっと建設産業への就職に生かせる」と語る。
 さらに「建設産業はテレワークをもっともっと生かせるはず」と強調。現場の監理業務の中には、IT技術を駆使できる人なら、土木や建築を学んでいなくても十分能力を発揮できる場面がある。「副業でもOKだ」と門戸を広げる。
 嶋田さんはまだ40歳と若いが、グループを成長させてきた証として「経営者の仕事は後継者をつくることだ」と明言する。グループが成長していく中で「財前組を110年の先につなぐのも人だ」と言い、「育てて見せる」と決意を示す。
 国東では業界の仲間と一緒にゴルフを楽しむが、趣味は仕事と笑う。「週末に子どもの顔を見るのが癒し」と話を結んだ。
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