大分建設新聞

インタビュー

梶原 修治さん(日田土木事務所長)

2023年06月12日
 経歴~日田市出身で山口大学工学部卒業後入庁。本庁河川課防災調整監、玉来ダム建設事務所長などを経て4月から現職。
 日田土木事務所は3回目の赴任。今年3月まで竹田市の玉来ダム建設事務所長を務めた。同ダムは5月に大分県では初となる公益社団法人土木学会の「土木学会賞」(技術賞)を受賞。感想を聞くと「長年にわたり携わった建設業者さん、関係者、地元の方、職員の協力のたまもの。竣工までの2年間、同職に身を置き土木に携わる者として冥利に尽きる」と目を細めた。
 もともと日田の出身、緑や水の自然豊かなふるさとを語りながら、最初の赴任時に長女が誕生したなど、思い出はひとしおだ。「昔に比べて旧郡部の方も道路が良くなったなと実感するが、まだまだここは県内でも道路改良率は低い。しっかり(仕事を)進めていかなければならない」と足元を語る。
 これまでに従事した仕事を振り返ってもらった。1997年、日田に赴任後間もなく、発生した県道天瀬阿蘇線の地滑りによる道路災害が忘れられない。「住民は避難を余儀なくされ、彼らの不安を解消するため状況を丁寧に説明しつつ、委託したコンサルタントと共に職員一丸となって昼夜復旧に励んだ。その時、自らの仕事が県民生活の安全・安心に直結する」と改めて実感したと言う。
 日田土木の管轄では、豪雨により甚大な被害を受けた天ケ瀬温泉街の復興が始まった。「今年度は設計測量や用地確保に取り組み、用地を確保できたところから工事を進めていきたい」と気を引き締める。また、日田山国道路も、今年度は1号トンネルの本坑の工事着手の準備と、引き続き日田側の日田市三和―渡里までの2・85㌔の現道拡幅も進めて行く。
 職場については「職員には『人に優しく』を訓示。住民の皆さんはもちろん、上司と部下の関係でも実践してほしい。風通しの良い職場作りを目指したい」と微笑む。
 建設業界への思いも強い。「業界は地域を支える基幹産業。近年、度重なる災害に見舞われ、発災直後から大建協日田支部には迅速な対応をしていただいた。非常に感謝している。真夜中に対応をお願いする時などは正直胸が痛むが、いつも快く対応してもらい、本当に頭が下がる思い」と感謝の言葉。
 座右の銘は「自反尽己」。どんな事でも全力で向き合い、問題があれば他人のせいでなく自分事として捉えるという意味。また宮大工棟梁で有名な西岡常一氏の「工人の非を責めず己の不徳を思え」を旨としている。
 趣味は読書で、最近では直木賞作品の今村翔吾の『塞王の盾』を読んで、石垣職人が土木に打ち込む姿に自身を重ねた。
 ご家族は奥さんと2人の娘さんが大分市に。単身赴任の日々を送る59歳。
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