大分建設新聞

インタビュー

平川 尚人さん(国東土木事務所長)

2023年06月21日
 略歴~1986年県職員に。別府土木事務所を初任地に四つの土木事務所、本庁企業局、玉来ダム建設事務所次長、中津土木事務所次長などを経て4月から現職。
 入庁して別府土木事務所を振り出しに、本庁各部署、ダム現場を歩き、土木事務所も中津、竹田、別府、佐伯と経験してきたが、国東での勤務は初めて。
 「ここへの赴任は初めてだが、本庁港湾課や漁港漁村整備課在籍時に国東の海岸線は何度も訪れ、熟知している」と平川尚人さんは余裕の笑みを見せた。
 国東では現在、「宇宙港」と「ホーバークラフトの復活」が注目を集めている。平川さんは、両方ともに港湾課在籍時に携わった。「今、それが実を結ぼうとしているのを、とても楽しみにしている」と国東への愛着を重ねる。
 抱負として、①緊張感を持った防災対策②社会資本整備と維持管理③安岐ダムの再生事業―の3本柱を掲げる。防災対策については「竹田土木事務所で2012年九州北部豪雨で玉来川の氾濫を目の当たりにし、16年の熊本地震で地震の怖さを体感しており、災害は、いつどこで起きるか分からない」と実体験から備えの重要性を強調した。さらに、4月1日付けで異動しているのは、防災機能を発揮し、危機管理に備えるため土木事務所長の空席や兼務はつくらないという前部長による方針で「身の引き締まる思いで就任した」と振り返る。
 社会資本整備と維持管理については「特に耐震化、老朽化対策に力を注ぎたい」とポイントを明確に「地元建設業者の方々と協力しながら粛々と進めていきたい」と語った。また、維持管理の将来を考えると「建設業界の担い手不足を解消しなければならない。一緒になって業界の魅力をアピールしていきたい」と言葉を重ねた。
 安岐ダムの再生事業は「今後、事業化に向けた取り組みを河川課とともに進めていきたい。玉来ダムに携わった経験を生かして、事業計画を進めていきたい」と話す。
 建設業協会をはじめとする建設業に携わる全ての関係者には「社会資本整備だけでなく防災から復旧、復興まで多くの分野で地域に貢献していただいており感謝しかない」と語り、「膝を付き合わせた意見交換で業界の皆さんとの距離が縮まり、防災効果が発揮できた経験がある」と強調した。
 社会全体のマイナスになる担い手不足については「産学官連携が成功している国東高校に期待している」と熱いエールを送る。
 国東管内は六郷満山と呼ばれ、長く深い歴史の流れを汲む観光地も多く、豊かな自然にも恵まれて魅力はたくさんある。宇宙港やホーバークラフトなど人が集まる可能性を持っている。事務所では新卒の3人に加えて伸びしろのある職員が多く「ワクワク感を持って地域と事務所の発展に期待している」と国東への思いを込めて話を結んだ。
 背筋を伸ばしたチャレンジ精神溢れる言葉、何でも受け止める姿勢を強く感じたが、実家はお寺で、土木建築部の野球チームではいつもキャッチャーだと聞き納得した。気象予報士の資格を持つ臼杵市出身の57歳。
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP