大分建設新聞

インタビュー

佐藤 元彦さん(県東部振興局長)

2023年07月14日
略歴~1985年入庁。商工観光労働企画課の産業企画監、教育庁教育改革・企画課の総務企画監、商工観光労働部の先端技術挑戦課長などを経て5月から現職。
 別府土木事務所の総務課工事経理係を振り出しに、本庁各部署で仕事をしてきたが、中でも商工観光労働部が長い。「障害福祉課で担当した大分国際車いすマラソン大会も印象深いが、先端技術挑戦課では宇宙港という大分を活性化する夢のある仕事をさせていただいた」と佐藤元彦さん。
 建設業界に関連するところでは「熊本地震の時に商業・サービス業振興課として、別府、湯布院をはじめ県下各地の旅館、ホテルの建物の復旧に携わった」。そこで補助金の説明会から申請、交付決定から支払いまで一連の仕事に追われた。被災した旅館を見て回ると、断層の上の建物の損壊は大きく、補助金の個別申請手続きに慣れていない被災者は困惑し、建築業者も多忙で見積もりすらできない状況だった現実を目の当たりにした。「湯布院の寒い空気の中での相談会を思い出す」と佐藤さんは当時を振り返る。
 それだけに建設業界に対する思いも強い。「普段のインフラ整備に地域の防災、災害時の迅速な対応に協力いただいており、住民生活には欠かせない産業」。
 一方で「技術者の人材不足だけでなく労働力全体が不足しており、建設業を続けるのに厳しい状況がある」と現状を語り、それでも「無くてはならない業種なので、業界の持続発展、技術の承継がさらに大事になる」と強調した。
 人手不足に対してはICTで省力化、効率化を図るという働き方改革がポイントになる。また、若い人が入職しやすく、仕事にも従事しやすい週休2日制などの職場改善ポイントも大切、というのが佐藤さんの持論。「われわれとしても公共工事の発注については週休2日制を導入しているし、現場環境の改善のための配慮もしている」。
 建設業協会が実施している出前授業については「働き方改革をPRして、国東高校環境土木科の生徒が業界に関心を持ってくれれば」と期待する。また、「鳥インフルエンザ発生時の埋却処分は建設業界の方でなければできない。災害と同じで時間勝負。協定を結ばせていただいているが、今後もご協力を」と信頼している。
 農業基盤整備では「地元の要望に耳を傾け、普及員からの密着した情報を得て、県が推進する水田畑地化を進めたい」と話し、農業に加工と食事を加えた「6次産業で儲かるように」と期待を寄せた。
 宇宙港について聞くと「宇宙関連産業はエリアが広い。これから発展していく宇宙空間を使う産業であれば地場の企業でも参入できるわけで、人工衛星を使って農地の土壌や生育状況を調べたり、GPSを使っての船の制御、宇宙食の開発など宇宙に関連した産業はアイデア次第」と東部地域の未来への大きな可能性を語る。「宇宙というキーワードで、考えるきっかけが生まれれば。地元の理解促進が振興局の仕事」と話を結んだ。
 仕事のスイッチを切り替えるには特別なものはいらない、「心のボタンを押すだけ」という。「散歩ができるだけで幸せだ」と1日1万歩を意識して歩く。国東の勤務は初めてなので、休みの日は管内を巡る。神社やお寺が多く、まさに神仏習合文化の地、六郷満山だと納得した。日田市出身の56歳。
名鑑CDバナー
インボイス
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP