大分建設新聞

インタビュー

松井 督治さん(国東市長)

2023年08月01日
 略歴~1983年東京学芸大学卒、同年㈱大分放送入社、2018年メディア局長、20年同社定年退職。22年大分大学大学院経済学研究科で経済学博士を取得。今年3月から国東市長に。62歳。
 「改めて職責の重さに身の引き締まる思い。国東市の未来のために全力で取り組まねばならない」。民放局から自治体の首長へ大転身した松井督治さんは決意を込めて切り出した。
 国東市の未来をデザインする五つの政策を掲げる。「誰もが明るく楽しく暮らせるまちに!」をビジョンに①人口減少対策②地域産業の活性化③安心・安全で活気あるまちづくり④子育て・教育環境の充実⑤地域文化の継承と創造―に取り組む。
 最大の課題である人口減少対策については「国東市を今よりもっとおもしろく」をテーマに、市内各所ににぎわいをつくり「市全体を、住んで楽しいワクワクするまちに変えたい」と話す。大分空港の宇宙港化を見据えた地域活性化と、コロナ後のインバウンドを含めた観光客の誘客に力を入れたいと方向性を定める。将来世代のために新設される国東高校の宇宙コースなど「産業や教育の発展を目指す。今は最大のチャンス」と強調する。
 さらに、開山1300年、神仏習合の独特な文化が受け継がれる六郷満山から未来につながる宇宙港まで、長い時間軸を持つ観光資源と世界農業遺産。姫だこ、太刀魚、オリーブ、シイタケ、酒や焼酎など食の資源。ユネスコの無形文化遺産に登録された太鼓踊りの吉弘楽や修正鬼会、奇祭ケベス祭り、国東塔や仁王像などの石造文化など、松井さんは満ち溢れる地域資源を語り、「五つの政策の要素を網羅できる観光事業をバランスよく進めていくことで施策が広がっていけば」と期待を寄せる。
 さらに、来年度のJRグループの共同旅行企画の福岡―大分ディスティネーションキャンペーン、再来年度の大阪万博、瀬戸内海国際芸術祭なども、イベントを機に国東に観光客を呼び込む大きなチャンスとみる。
 こうした新しい観光ルートの構築、国東の自慢の食材を使った『美酒美食』料理の提供、そして国東らしい土産品の開発などにより、「観光と結びつけて国東の価値を目覚めさせ、高付加価値のものを売ることができる儲かる農業を確立したい。新しい国東観光を再構築していきたい」というのが松井さんの近未来のチャンスに込める思いだ。
 時代はものすごいスピードで変わっている。松井さんは「今こそ新しいことにチャレンジし続けて、国東市の5年後、10年後を見据えて先手を打つタイミングだ」と目を輝かせる。「市民の声をまちづくりに生かし、市民、企業、行政が力を合わせて、新しい国東市づくりに取り組んでいきたい」と熱意を重ねた。
 建設業界については「国東市は観光関連でまだまだ伸びしろがあり、今後、産業施設だけでなく、点在する観光地への道路や駐車場の整備、公園、観光施設の整備が必要になる。市内の建設業者のご協力をいただきながら、新しい国東市をつくっていきたい」と語る。さらに「昨今の災害は、いつどこで起きるか分からない。地域の守り手として頼りにしている」と、災害時の連携、協力を求めた。
 市長に就任したばかりの今は、残念ながら趣味を楽しむ余裕はない。「時間ができたら国東半島のロングトレイルに挑戦してみたい」とチャレンジ精神を見せた。さまざまな課題も一刀両断できる剣道は五段の腕前。
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