大分建設新聞

インタビュー

河津 賢太郎さん(河津建設㈱社長)

2023年10月04日
 略歴~日田高校、関東学院大学工学部卒業後、2004年㈱クボタに入社、11年から清水建設㈱、14年に帰郷し河津建設に入社、専務取締役を経て今年4月から現職。
 日田市の河津建設㈱は、今年4月にトップ陣容の若返りに踏み切った。河津龍治社長が会長に、専務の河津賢太郎さんが新社長に就任した。現在41歳の若手リーダーの誕生である。そこで、これから同社を牽引する新社長に経営ビジョンについて聞いた。
 河津さんはかなり異質な経歴の持ち主だ。高校、大学時代はラグビーに専念。大学の時に学生日本一を経験し、卒業後勤めた㈱クボタでも社会人ラガーマンとして活躍した。「クボタ時代はラグビーとともに水道工事の設計積算など業界に関わる仕事に従事した」が、その後、本格的に建設業を学ぶためラグビーを辞め清水建設㈱に入社。土木工事の施工管理など現場監督業務を務めた。「当時は公共事業が減少するシビアな状況もあり、徹底した原価意識を要求された。とても良い経験になった」と振り返る。
 同社は1950年の創業以来、70年を超える社歴をもつ。社長を歴任した祖父や現会長の父親は、河津さんが子どもの頃、「家族サービスというものは存在しなかったほど厳しかった」と言う。その厳しさのおかげで「いま思えば現実社会の厳しい状況に直面した時、動じない性格になれたのは、当時培った忍耐力のおかげだろう」と語る。
 会社の設立以来、今日まで建設業界をとりまく環境は目まぐるしく変化してきた。「良い時代もあれば厳しい時代も経験したと聞き及んでいる。そのような中で、現会長を中心にいつも状況を冷静に見極め、新しい試みを積極的に取り入れる姿勢があったからこそ成長できたと思う。この精神を自分も受け継いでいきたい」と先代の背中を追う。
 新社長として社員の育成方針は「チームワークを大切にし、みんなで足りないところを補い合いながら仕事を進め、さらに技術力の向上を図ること」に置く。これを実現するため社員を「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」など新技術習得の研修会に積極的に参加させている。一方で、現場代理人やキャリアのある職員の下に若手をつける「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」にも注力する。
 河津さんは「まず社長である自分自身が向上心をもって日々学ぶ姿勢を持ち、社員がしっかり成長できるような環境を作ることが重要」と自らの実践を優先。
 現在、ICTなど新しい技術が急速に普及する中で、これを習得した若手が逆に重宝がられるといった意外な状況も現れているが、「しかし、災害時の対応など的確な判断が求められる現場では、やはり熟練のノウハウや経験が不可欠」と単なる技術知識だけでは通用しない生の現場の状況も重視する。
 昔は仕事一筋が美徳といった時代があった。しかし河津さんは「現代は家庭を大事にしつつ仕事にも集中するワークライフバランスが大切」と考えている。それが業界がいま掲げる『新3K(休暇、給与、希望)』の実現に必要だからだ。
 同社には、30歳以下の社員が十数人おり、彼らが結婚、子育てを経験しながら技術者としても成長し、若い人材を育てられるようになっていくのが河津さんの希望。「これが実現できれば持続可能な地域と企業と業界の発展につながる」と意欲を燃やす。
 河津さん自身、この5月に娘さんが生まれたばかり。新社長自ら奥さんとともに新3Kの実践者となる。ラグビーでは「強いチームほど自分がきつい時に、隣りにいる仲間を助けることができる。会社もそうありたい」。新たな河津建設の挑戦が始まる。
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