大分建設新聞

四方山

5月

2024年05月01日
 熊本県菊陽町に進出した半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)によって、周辺には、にわかバブル景気ともいえる現象が起きているという。工場周辺の地価はうなぎ上り、飲食店の時給は2000円に迫るような勢い。同工場に勤務する台湾人を当て込んだマンションの建設ラッシュも目立つ。既に第2工場建設を現地に建設することも発表されており、当分この現象は続きそうだ▼工場に赴任している台湾人社員の多くは、欧米留学経験のあるエリートとされ、年収は2000万円はくだらないと言われている。台湾人というと、一般的にはアバウトでのんびりした性格とみられがちだが、そのイメージは現在では大きく覆される。あくまで個人的な体験を基にしたイメージだが、利にさとく自分の利益には敏感な姿が浮かび上がる▼エリートとなると、なおさらだ。日本では姿を消しつつあるサービス残業もいとわない。台湾では「責任制」といって、自らの業務が終わるまでは責任をもって遂行する文化があり、評価を上げるため遅くまで働く。残業代は支払われることはないが、その評価は報酬に直結する欧米的な働き方である。かつて日本の「モーレツ社員」が蘇ったようだ。失われた30年といわれる経済停滞が続く間、世界は大きく変容しており、日本だけが取り残された感がある▼TSMC創始者の張忠謀氏(92)は中国生まれで香港に移住し、米国のスタンフォード大学で学んだエリート。当時急成長していた米国の半導体企業に就職した後、幾つかの企業を経て台湾の工業技術研究院の院長に就任し、台湾の産業と技術発展を任された。新たに受託生産というシステムを始め、現在の半導体産業の生みの親ともいえる▼TSMCが日本活性化の起爆剤となることを期待したい。(ゴウ)
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