大分建設新聞

インタビュー

梅野龍己さん(梅野板金工作所会長)、銅版工芸で数々の受賞

2009年12月01日
 日田市銭渕町の(有)梅野板金工作所会長の梅野龍己さん(71)は、創業50年になる建築板金業を営む傍ら、昭和60年頃から銅版工芸に取り組み、「打ち出し技法」や「押し出し技法」により、銅版に絵を描く銅版彫刻の創作活動にも力を入れている。 平成11年に国の「現代の名工」(卓越した技能者)に選ばれた。県内の業界では、現代の名工は梅野さん一人だけ。ほかにも黄綬褒章や豊のマイスターなど数々の賞を受賞している。今年は、全日本銅研究会に「穂高連峰」(河童橋と梓川)と題する彫刻を出品し、グランドチャンピオンに輝いた。一連の受賞を「銅版工芸への取り組みや創作活動が、世に認められたことを名誉に思う」と、これまでの軌跡を振り返った。  梅野さんは、彫刻に「螺鈿細工(らでんさいく)法」「虹の色出し工法」「アメリカンフラワー工法」など、独自の技法を次々に開発、これら技法を用いた作品は、いずれも銅版とは思えない色彩と三次元の立体感が、絵に表現されている。  今年5月に社長職を長男の香さん(44)にバトンタッチ。現在は会長として経営に携わりながら、市内はもとより九州一円、全国にわたって、後進の技術指導にあたっている。同社に直接指導を仰ぎに来る技術者も少なくないという。「自分が教えた中で、名工に選ばれた技術者が出たことが、何よりもうれしかった」と話す。  県内小学校の「ふれあい教室」でも銅版彫刻を指導。これまでに出かけた小学校は72校にのぼる。「子供たちに、銅版工芸やものづくりの楽しさを知ってもらうことに、喜びを感じる。依頼があれば、どこへでも飛んで行きますよ」と、児童たちへのものづくり指導にも情熱を燃やす。  梅野さんの技術を継承する香さんは、銅版1枚から折って作る鶴を得意とし、小さいものでは両翼の幅が5㌢以下の作品もある。17年の福岡県西方沖地震の際には、数百個の鶴を贈り被災者を見舞ったという。梅野さんは、作品の個展なども開いており、今年も個展を予定しているそうだ。







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