大分建設新聞

インタビュー

足利由紀子さん(水辺に遊ぶ会理事長)

2010年10月04日
 ―12年前にNPOを立ち上げ、海岸の保護活動に取り組むようになったのはどのようなことからですか。  足利 大学で生物学を専攻し、当時から野鳥観察や環境学習のボランティア活動に参加していました。主人の転勤で中津に来て、バードウォッチングなどを楽しんでいたのですが、友人に誘われて、恐る恐る干潟に足を踏み入れました。そこで2億年前から変わらずに、生きた化石として本や標本でしか見たことがなかったカブトガニが潮だまりで動いている姿を見たのです。その時の感動は今も忘れません。それが活動の原点です。  ―昨年、自然石を使った、大新田海岸の防波堤築堤が干潟に及ぼす影響についての、5年間に及ぶ追跡調査結果の報告会がありました。調査で多くの方々の協力を得られたのは、足利さんの人柄かと感じました。  足利 大新田の舞手川沖にはカブトガニの産卵場所があり、貴重な干潟が広がっています。ただ当時、堤防を築くなどして塩害被害を防いでほしいとの、地域住民の方々の気持ちも、地域に暮らす一人として、よく理解出来ました。そこで行政、地域住民、私たち環境保護、研究に携る4者が、何回も地道な話し合いを重ね、その中から、最良と思える築堤の方法を選択しました。対立するのではなく、話し合いの中から妥協案を見出す過程に、現在の活動の方向性みたいなものを私自身が感じました。当時、ひざ詰めで話し合った土木事務所の方々が、出世されて、いろいろな方面で助けていただいています。東大の清野聡子先生や土木研究センターの宇多高明先生が「全国では護岸工事などの公共事業は、地域住民の間でさえ対立構造が顕著な中、大分県では行政・住民・保護活動の異なる立場を超えて話し合い、最良の選択ができることは素晴らしい」と言っていただいたことが全てだと思います。私たちは、行政の方々の専門性と一般市民の方々の、理解の橋渡しが出来ればと、願っています。  ―これからの抱負などを聞かせて下さい  足利 子供たちにビーチクリーン、タコツボづくりとタコ漁、手づくりイカダなど種々の体験の中から、環境保護の大切さを知ってもらい、後世に受け継いでいってほしい。ただ、私たちは純粋なボランティアだけど、活動を継続していくためには、活動資金を得るための収益事業も必要かなと感じています。




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