大分建設新聞

インタビュー

高瀬慎史さん(田中建設)

2011年06月30日
 高瀬さん(29)は、日田市内の旅行会社が企画した震災復興ボランティアに参加、5月30日から1週間、宮城県石巻市の被災地でがれき撤去などの作業に携わった。「現地に入ったときは、あまりにも悲惨な光景だったので言葉を失いました。行く前は、大震災発生から3ヵ月近く経っているのでかなり片付いているのだろうと思っていました。ところが、まだたくさん残されたままのがれきを目の当たりにして、これからもまだまだ大変だと思いました。テレビで見るのと現実とのギャップに驚きました。正直ショックを受けましたね」と、今も現地の生々しい光景が頭から離れない様子。  現地では、電気もなく空き店舗でざこ寝の生活だったという。「それは出発前に説明を聞いて知っていたので、懐中電灯などを用意していましたし、お風呂も自衛隊の方々が設営した簡易風呂に毎日、入ることができたので問題ありませんでした。海に近い被災地では、まだ電気、水道が来ていない地域が多くありますから、ぜいたくは言えません」。  土木技術者として感じることも多かったようだ。「津波で破壊された土木構造物があちこちで目につきましたが、橋の歩道部分がそっくり流されていた現場を見たときは、自然が猛威を振るうと、人間が造った物など何も残らないんじゃないかとさえ感じたものです」と。それらの経験がこれからの仕事に役立つかを問うと、「想定外の多くの現実に触れたことだけでなく、他の地域から来たボランティアの方々と交流できたことは、たいへん有意義でした。外国人もいたし、経験したことのない様々な人たちとの交流は財産になります。仕事や技術というより今後の人生すべてに影響すると思います」と、とてつもない被災現場に立ち、人生の糧ともなる〝何か〟を心身に刻み込んだようだ。  さらに高瀬さんは、「私たちが手がけた作業などはほんのわずかでしかなく、まだやり残したことがたくさんあったので、後ろ髪を引かれる思いで戻ってきました。それが心残りです」と話した。




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