大分建設新聞

インタビュー

久保田 高司さん(後藤建設)

2012年08月30日
 賀来川改修・県道小挟間大分線道路改良受託合併工事で、国土交通省九州地方整備局長表彰を受けた後藤建設(株)土木部次長の久保田高司さん。優秀現場代理人・主任技術者表彰が今回で3回目というのは県内でも数少ない。工事を進める上でのポイントを聞くと、「現場が教えてくれます」と言った。   「現場が教えてくれる」とは、現場の工事進捗段階ごとの状態はもとより、現場周辺の地形、環境条件、歴史、地域性などから見えてくるいろいろな情報から、予兆やヒントに出来るだけ早く気付くこと。そのためには、地域のことをよく知る地元の方々とのコミュニケーションを良くし、情報を得るのが大事だと言う。  久保田さんがそう答えたのには理由があった。若いころ、短い工期の中で必死で取り組んでいた護岸工事の際に、住民の一人から「あんたはどこを見て工事をしてるのか。役所ばかり気にしていてはいかん」と苦言をもらった。その言葉に「工事の出来、不出来は地元住民の理解が大きく左右する」と気付かされた。それ以来、地域住民とのコミュニケーションを第一に考えるようになったという。  「今回の護岸工事は簡単そうに見えて結構苦労した」と言う。大型ブロック積みの天端に擬石模様の現場打ちパラペットが立ち上るのだが、護岸線形が直線なので少しでも線形が乱れれば素人目にもすぐにわかるし、河川幅員と県道幅員の双方を侵さないようにしなければならないため、大型ブロック積みは一段ごとに計測し、型枠も複数回計測するなど、こまめに管理した。また、現場は狭く資材(大型ブロックなど)を置く場所も少なかったことから、対岸の工事とも調整しながら、最小限の材料を搬入し施工するなど苦労したようだ。  賀来川改修の工事現場となった宮苑地区は、井戸水を利用している家庭が多いため、井戸枯れ対策にも力を入れた。一度、みずみち(地下水の通り道)が変わると井戸の水位が戻ってこない場合がある。そのため、過去の工事による影響や工事中の水位変化などを十分確認しながら施工した。苦情は出なかったという。  協力会社も含め工事関係者とは、常に意思疎通の徹底に気を配った。そこから生まれる連帯感が、結果として県内でも高い評価の工事につながっているのだろう。「現場には、いろんな制約があり自分一人で出来るものではないので完璧な物を造るのは難しい。そんな中でも物づくりの基本である品質や出来ばえといったようなものに自分なりの〝こだわり〟をプラスしていければ」と、今後への抱負を語った。


住民とのコミュニケーションを大事にする久保田さん

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