大分建設新聞

インタビュー

佐藤 亜美さん(大分市都市計画部)

2012年09月06日
 国際協力機構の青年海外協力隊に参加し、22年1月から2年間、土木技術者としてパラオ共和国に派遣された佐藤亜美さん。現地では、測量やGIS(地理情報システム)構築の技術指導などに携わった。  子どものころから海外に興味があった。まだ学生だった10代のころにも一度、協力隊の説明会に行ったが、要件を満たしておらず断念。その後、市の職員になり技術者としての経験を積み、改めて応募した。  現地では測量指導のほかにも、都市計画図作成の支援や観光のための散策路マップ作成、小学校での出前授業などを行った。また、ユネスコの世界遺産登録に向けた調査資料作成にも協力し、24年には同国の「南ラグーンとロックアイランド」が文化・自然の複合遺産として登録された。  苦労したことを聞くと、「南国の島国特有の、のんびりした人柄」と言う。パラオは、フィリピンの東の太平洋上に位置する、人口2万人ほどの小さな島国。大きな自然災害もなく、食料も豊富なため争いごとがない穏やかな国だ。「〝自分のものはみんなのもの〟という大らかな土地柄で、数を数える必要が少ない生活を送っているため、みんな〝算数〟が苦手」なのだそう。時間に対する観念も大ざっぱだ。地図の見方がわからない人も多く、そんな中で、測量やGISの指導をするのに苦労したという。  佐藤さんはまず、仕事に対する意識を変えてもらうことから始めた。現地の人は、佐藤さんのことを「ただで働いてくれる外国人」という意識でいたが、何でも自分たちでするように促し、派遣期間が終わっても自立できるように指導した。  「日本人の考え方でやってもだめだということに気付いた。どういう伝え方をすればいいのか日々考えた」と言い、また、「パラオ人の苦手な計算はパソコンを使うなど、試行錯誤を繰り返した」そうだ。その甲斐あって、任期も終わりに近づくころには、意識も変わり、自立できるようになったという。  佐藤さんは、日本人とはまったく違う価値観の人々との生活の中で「〝何が一番大切か〟ということを考えさせられた」と言う。「公共事業も、色々な考え方を持つ住民の方々と一緒に進めていくものなので、この考え方は大切だ」と、2年間の海外での経験を、今後の業務に生かしたいと話した。


青年海外協力隊としてパラオで2年間活動した佐藤さん

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