大分建設新聞

インタビュー

菊池 淳一さん(豊國建設㈱地盤調査部技術部長)

2016年03月03日
 高校の地学の授業で地質に興味を持ち、大学の理学部地学科で学んだという学究肌の菊池さん。
応用理学、建設、総合技術監理の3部門の技術士で、RCCM(河川、砂防及び海岸・海洋、トンネル、土質及び基礎、農業土木)でもある。
 長年、大手地盤コンサルタントに勤務し、数年前から同社に。同社は建築・土質調査の会社として創業し、今は「土質」と「地質」の分野があるのだそうで、「えっ、違いがあるんですか」と記者。
「土質は主として平野部の土の性質で軟弱地盤に関わるもので、地質は山間部の斜面や岩盤に関わるもの、あるいは急傾斜地や地すべりなど砂防に関わるもの」と菊池さん。
 そして大分県は多様な土質、地盤があって、大変興味深いという。
「例えば大分市の平野部は堆積層で、軟弱地盤が時に60㍍深くになる所もある。北部では火山の噴火や溶岩が流れてできた地層。そして県内の多くの山は海底から岩や砂が隆起してできた山で、例えば津久見の石灰岩の山は、生物の死骸を含む地層が石灰岩になって隆起したものだ。県内には活断層がいくつもある。南海トラフ地震では、津波対策が重視されているが、県内の地盤の脆弱性にも注意を払うべきだ」と。
 さすが地盤一筋の人生を歩んできた菊池さん、初めて聞く話ばかり。これからは「河川、砂防及び海岸・海洋」の技術士資格取得に挑戦するのだとか。もう、山から海までの地層や河川、海の専門家だ。
そしてその知見をもとに「限られた予算の中で県土の安全を守るために、より良い効率的な調査と効果的な土木構造物の整備を提案していきたい」と語る。
ぜひ、県民の皆さんに、県土の脆弱性を講演していただきたいものだ。


「南海トラフの津波対策だけでは不十分」と訴える菊池さん
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