大分建設新聞

インタビュー

中西 章敦さん(県臼杵土木事務所建設課副主幹)

2018年11月05日
県臼杵土木事務所建設課に務める中西章敦さん(42)が、2009年から8年かけて研究した学術論文が認められ、このほど大分大学から博士(工学)の学位を授与された。
研究テーマは、一級河川大野川中上流域に位置する、里川集落を対象に研究した「里川の空間構造と心象風景にもとづく河川整備モデルの研究」。
大分大学によると、学術論文として「里川」を研究テーマに取り上げたのは、全国的にみても中西さんが初めてという。
 大学卒業後、県職に就いた中西さんは、県土木建築部の河川担当が長く、九州北部豪雨や熊本地震などの、災害現場にも出動してきた。
 災害が発生すると、河川の護岸復旧などを目的に、コンクリートや石積みなどで整備をするが、大野川流域で環境保全の活動をしている地域の人たちと関わるうちに、「環境保全と河川整備は、全く相反するものではない」と、考えるようになったという。
 これをきっかけに「景観と河川をテーマにした研究がしたい」と34歳の時、大分大学の佐藤誠治教授(現名誉教授)を訪ね、大分大学大学院工学研究科環境工学を専攻、仕事の傍ら研究を始めた。
 研究テーマである「里川」の里とは集落のことで、その中に流れる川の概念として▽住民によって広く利用されている▽地域と一体的に景観を構成している―などを基準に、GIS(地理情報システム)や航空写真を使って、河川に隣接する29の集落を調査。
この結果、里川の典型としたのが、竹田市入田(緒方川上流)の「長小野集落」。
 日々の業務を終えた後の研究ということもあり、思うように進まずジレンマに陥ることも。
この間に熊本地震や九州北部豪雨といった大規模災害も発生。
災害現場へ出動し、現場から深夜帰宅後、仮眠して出勤までの数時間を論文作成に当ててきた。
 中西さんは、「論文をまとめるのに8年かかったが、完成したのは大分大学の佐藤教授や学生たち、地域の方々が熱心にサポートしてくれたおかげ」と語っている。
 出身は、豊後大野市大野町。竹田市の竹田高校を卒業後、九州大学工学部建設都市工学土木学科に進学。
1998年4月県職となり現在に至る。高校、大学とラグビー部に所属。
来年、県内でも試合がある、ラグビーワールドカップを楽しみにしているという。大分市在住。
 



完成した学術論文を手に「大分大学や地域の協力のおかげ」と中西さん
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