大分建設新聞

インタビュー

髙山 佳奈子さん(㈱佐伯建設)

2021年03月17日
 県内では珍しい女性の安全パトロールメンバーである。㈱佐伯建設の安全品質環境部に所属する髙山佳奈子さん。
 彼女は短大の食物学科を卒業したが、在学中に取得した医療事務の資格を生かして調剤薬局に事務として2年半勤務。その後、現在の会社に入社。雇用条件は望み通りだったが、募集は経理担当だった。経理経験がない髙山さんは戸惑った。しかし、父親から「名前の知られたきちんとした会社だから、受けてみたらどうだ」と後押しされて応募。「未経験の自分が採用された理由はいまだにわからないんです」と首を傾げる。
 入社後は、経理財務グループで経理担当として12年間勤務し、経理を一から覚え、エクセルなどのPCスキルを独学で習得。その後、結婚して家庭を持ち、産休、育休を経て2018年9月から現在の安全品質環境部へ配属された。初めて作業服、ヘルメット、ハーネス、安全靴をフル装備した自分に「私は建設会社の社員だ」ということを実感した。パトロールをやらない普段の日は、事務処理、教育動画作成、協力業者会の事務局など何役もの仕事をこなしている。
 デジタル技術の導入や仕事の効率化などで働き方改革が進み、女性が活躍しやすい環境になってきているが、現場では、常に危険と隣り合わせの現状も見た。高山さんは、上司の澤田郁夫安全品質環境部長からいつも言われている「現場を女性ならではの細やかな目線で見て欲しい」をモットーに、事故災害をなくすためのサポートと、女性が安心して働ける現場づくりを心掛けて作業している。
 澤田部長は「彼女は異色の経歴を持つスーパー安全レディ。担当業務は多いが、ITスキルを駆使した事務の効率化、分かりやすい教育動画の制作、SNSの有効活用など彼女ならではの才能の持ち主。好奇心・探求心旺盛で、持ち前のコミュニケーション能力を発揮し、部内を明るく照らしてくれるSUN(太陽)です」と絶賛する。
 髙山さんが制作に参画したタブレットやスマホで説明する「新規入場者教育(基本事項編)」は、労基署からコロナウイルス感染防止対策としても有効で、このような取組みは見たことがないと高く評価された。彼女に触発され同部部員からの提案も増え、部全体が一丸となって一つずつ具現化している。
 澤田部長は「安全担当で女性がいるのは、県内ではわが社だけと思う。他企業のお手本となり、女性だけの安全パトロール隊誕生を目指したい」と今後の彼女の活躍に大きな期待を寄せている。
 髙山さんの休日は、3歳の息子と歌ったり、戦いごっこをして思いっきり遊ぶこと。体力は消耗するが、頭と心の切り替えには一番だという。

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