大分建設新聞

インタビュー

浦辺 裕二さん(大分県企業局長)

2021年05月12日
 就任にあたり関係機関にあいさつにまわった時、「別府市では、令和2年7月豪雨の際、企業局職員が元治水井路の方々へ一緒に協力要請を行ってくれたことで、上水を止めることなく供給できた、と感謝の言葉をいただいた」。一方、「大野川漁協では、大野川発電所のリニューアルに際し、魚類の保護・育成に配慮した魚道整備などの対策について、企業局と中部振興局が汗をかいて頑張ってくれたと褒詞をいただいた。これまでの職員の苦労の積み重ねが関係機関との良好な関係につながっている」と職員への感謝の言葉で話を始めた。
 企業局の勤務は初めて。「これまで県職員でありながら企業局のことをほとんど知らなかった。企業局の認知度を今まで以上にアップすることができれば」と新局長就任の抱負を語る。
 企業局の仕事は、電気事業と工業用水道事業が核となっているが「中でも工業用水は、大分市の工業生産額が九州で1位、全国でも上位に位置する。この実績を下支えしていることに責任を感じる」と重くかみしめ、「同時に県内一般家庭の13%に当たる電力供給と、大分市の全世帯の約3分の1、別府市では約3分の2に上水道原水を供給していることを合わせると、重責に身が引き締まる思いだ」。企業局トップとしてのスタートに緊張感を表わした。
 さらに今年度は、大野川発電所のリニューアル事業が完成し、2018年~27年を期間とする経営戦略の中間見直しと、アクションプランを改定する節目の年となる。「後世につなぐ仕事をきちんと仕上げなければならない」と決意を示す。
 建設業界に対しては、「災害時の道路啓開などの危機対応をはじめ、知事の進める県土強靱化の中心を担ってもらっている。県民の安全・安心の確保に本当にお世話になっている」と感謝の思いを並べた。
 一方「企業局では土木だけでなく、電気、機械など年間200件近い発注があるが、業界としては人材確保が難しいという一面もあると思う」と業界の事情を気遣う。また、ビルド大分の取り組みが始まったばかりの頃に、女性の働きやすい職場環境づくりの推進に携わったことを振り返りながら「女性の職域拡大や定着に期待する」と思いを込める。
 脱炭素社会に大きく舵をきった今、「クリーンなエネルギーである水力発電のニーズが高まるため、大分の豊かな水を活かす企業局の存在意義は今後も大きい」と将来に向けての明るい展望に期待を込めて話を結んだ。
 庭いじりをすることが、休日の楽しみという。「花ガラを摘む効果は、新しい花がきれいに咲くよう次につなぐことだ」と話す浦辺さんと「仕事を後世につなぐことを自分の役目と考えている」と話す浦辺さんが、重なって見えた。


略歴~土木建築企画課長、土木建築部審議監、
南部振興局長、議会事務局長などを経て、
今年4月から現職。59歳。
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