大分建設新聞

インタビュー

菅 健吾さん(東豊海事建設㈱部長)

2021年10月20日
 海洋土木が主体の東豊海事建設㈱(佐伯市上浦津井浦・森崎豪社長)で、部長として後進の指導にあたり、後輩社員二人の潜水士資格の取得に尽力したベテラン潜水士の菅健吾さん(50)。潜水士として本年度の優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)に選ばれた。
 現代の潜水士は「昔のように(重い)ヘルメットやボンベを装備せず、マイクで応答しながら作業船からのコンプレッサーで空気を送り込むフーカー潜水が主流。海に潜り、ブロックの据え付け、被覆石や捨石のならし、水中溶接などの作業に取り組んでいる」そうだ。
 佐伯豊南高校商業科を卒業した後、幼なじみに誘われて入社。畑違いの世界に飛び込んだ。そこで見たのは、潜りの先輩の壮絶な仕事ぶり。誰もが簡単にできるものじゃないと思え、感動したそうだ。早速、社長に申し出て潜水士になって以来、無事故で27年と2ヵ月が過ぎた。
 20代の中ごろ、沖縄の工事現場で、優秀な先輩について仕事をする機会を得た。沖縄の海は水深が20㍍以上になり、施工範囲も広い。水深が増せば、浮上作業には減圧が必須条件。減圧は潜水士を減圧症(潜水病)から守ってくれる。重症の場合は意識不明、死に至りもする。その先輩は、(自分が)免許取得時に勉強しただけの減圧知識について、懇切丁寧に教え、指導してくれた。先輩の教えが原点になり、現在の後輩社員の指導に大きく役立っている。
 水中での作業は、死と隣り合わせの仕事。「作業ミスなどは、陸の上の仕事と違い、誰も見つけることができず、全て自分の責任。一歩間違えば命取りにもなるので、作業後の点検は何度も何度も重ねてやり直す。(仕事が)完成した時の喜びは、この上ないものがある」と、仕事のやりがいを話す。
 ブロックを据え付ける時の、個数や出来形を意識した迅速で見栄えの良い出来形は、県の完成検査で高い評価を得て、県土木部長表彰などを得るなど、自らの技術の開発にも余念がない。
 大学生になる二人の子どもには「自分の好きな道を歩んで欲しい」と、きっぱり話してくれた。

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