大分建設新聞

インタビュー

牧 浩平さん(玉来ダム建設事務所技師)

2022年03月01日
 ダム技術センター(東京都台東区)が主催する2021年度ダム技術研究発表会で、竹田市の玉来ダム建設事務所建設課の牧浩平技師が最優秀賞を受賞した。
 牧さんは大分市の出身で大分舞鶴高校を卒業後、熊本大学工学部に進学したが、その頃はまだ土木を強く志していたわけではなかったという。「社会的には環境というキーワードがホットになっており、社会環境工学科で大学生活をスタートした」と振り返る。
 ここから熊本大学工学部の歴史と伝統の流れが牧さんの身体にも流れ始めることになるが、まもなく熊本地震を経験することになり、身体の奥底で土木の志が強くなってきた。
 3年生の時のインターンシップで大分県と国土交通省に行ったが、県では希望した河川課でインターンを受けることができた。「いろいろな現場を見せていただいた中で、玉来ダムの現場でダムの凄さを目の当たりにして、ダムに携わりたいと決心した」と人生の岐路を語る。
 県の合格者面談で入庁後の第1希望に玉来ダムを希望したところ、非常に珍しく希望通りの配属になった。この3月で2年が経過する。「事務所の先輩方はダムの経験が豊富な方ばかりで、分からないことが勉強できる充実感に満たされており、ありがたかった」と恵まれた環境に感謝を表した。
 今回の最優秀賞の発表内容は「阿蘇の噴火活動で堆積した、複雑でとても水を通しやすい地質という厳しい環境条件の中でダムの建設を進めなければならない。この難しい課題を克服するために、水を通しやすい地質の亀裂にセメントミルクを注入していくカーテングラウチングという施工をする。その前提の試験施工を丁寧に繰り返し、止水設計を確立した取り組みを21年の夏に論文としてまとめたもの」と分かりやすく説明してくれた。
 「将来のダム工事への対応に有効」と評価された論文の中身もさることながら、発表自体も評価の対象で、牧さんの話を聞いていると、明瞭でまっ直ぐな気持ちがそのまま言葉として伝わってくる。きっと発表の場でもチームの努力の結晶を伝えることができたのだろう。
 「ダムの建設はプロジェクトだが、チームに恵まれて価値ある相談やアドバイスを受けることができた。チームワークの大切さが身に付いた。今後もダムに携わっていきたい」と将来を語る。一方で「ダムの工事では周辺道路などの建設もあり、多くのことを学んでいる。どんな職場であっても、ここでの経験を活かして熱意を持って取り組む」と頼もしい目で将来を約束して話を終えた。
 集中力から解放される休みにはゲームで心をほぐし、大学時代の一人暮らしで身に付けた料理で胃袋を満たしている。「就職してからずっとコロナ禍なので、皆んなで集まりたい」と願っている。

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