大分建設新聞

インタビュー

河合 幸作さん(㈱河合組社長)

2022年03月09日
 第53回大分県農業賞の先進的法人経営部門で、県知事表彰、県農業協同組合中央会長表彰、大分合同新聞社長表彰の三つの表彰で特別賞を受賞した㈱河合組(大分市)の河合幸作社長に話を聞いた。
 今から13年ほど前、河合清会長(当時社長)が60歳になった頃「会社を取り巻く環境の変化に伴い、産廃部門と民間の宅地造成部門を残して公共工事部門を縮小することにした」と振り返る。まもなく、会長の兄弟が佐伯市で営んでいた原木シイタケの生産を辞めるという話が届き、会長が譲り受けることになり、原木シイタケの生産へのチャレンジが始まった。
 会長の兄弟から指導を受けてスタートした原木シイタケの栽培は、2019年の全国乾椎茸品評会で農林水産大臣賞を受賞し、翌20年には林産部門で内閣総理大臣賞を受賞するほどに成長した。「そして、大分市の推薦を経て今回の県農業賞の受賞に結びついた」と喜びを語った。
 予期せぬ農業参入だったが、建設業らしくバックホウを山に持ち込み、先端のアタッチメントを取り換えることにより「伐採する前の草刈りなどに使ったり、フォークとして木の運搬に使ったり、ウインチとして斜面からの木の引上げなどにも使ったり、効果的かつ安全に作業することができる」と重機の活用を説明する。
 原木シイタケに使用するクヌギの木は、13~15年経つとシイタケが収穫できる太さに成長するので、そこで木を切ってシイタケが生えるまで2年をかける。その後は、3シーズン収穫ができるが「ほだ木を作るのは、いまだに難しい。植菌して約1年半、山に置く間に二度の夏を経過するが、温暖化の影響かシイタケ菌より強い雑菌の繁殖に悩ませられており、品種改良の必要もある」と苦労も語る。
 一方では「価格変動や消費傾向の変化への対応として生シイタケの出荷にも力を入れている」と話す。また、農業従事者の高齢化にも対応しており、将来や周囲の経営状況もしっかりと把握しながら農業の承継にも力を注いでいる。今後の課題はあるものの、取り組んできたことが仕組み化されてきており、現在のSDGsの流れにも沿っている。
 建設会社を縮小した際に建屋の1階部分にできたスペースを生かし、農産物の直営店も開き、シイタケをはじめ農業生産物の販売にもチャレンジしている。
 原木シイタケの生産は、会長を含めて5人が従事し、河合社長は収穫などの支援にあたっている。建設業は、社長が産廃部門を運営し「不動産業、土地家屋調査士の弟たちと連携して宅地造成から施工までトータルでお世話をする住宅部門も営んでいる」と現在の業態を説明し、話を結んだ。
 「原木シイタケは、繁忙期は休む間もないが、休日は子どもたちと過ごすことで仕事から気持ちを切り替えている」という河合社長は「いつまで一緒に出掛けられるか」と穏やかに笑った。

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