バタフライ効果
2024年03月18日
ある高校で読まれた卒業式の答辞が話題だ。内容を簡潔に説明すると「バタフライ効果」の書き出しで始まり、コロナ禍の苦労とコロナ明けの文化祭や体育祭の思い出、スティーブ・ジョブズの演説からのバタフライ効果など、文章の壮大さに読む側も大変だった▼バタフライ効果は、ご存じの方もいるだろうが、一匹のチョウの羽ばたきが、どこかで大規模な異常気象を引き起こすこともあるという例え。「小さな出来事が大規模な、または広範囲での出来事につながる」という意味になる▼答辞の最後の言葉では、卒業する293人を大鵬(中国に伝わる伝説の鳥)に例え、「一匹のチョウの羽ばたきでさえハリケーンを起こすなら、卒業生293人の大鵬の羽ばたきは何をもたらすのか」と結んでいる。文章力に圧倒されるのはもちろんだが、この答辞の言葉には卒業生全員と担任の先生たちの氏名が一文字ずつ入っているというから驚きだ▼息子も中学校の卒業式があった。中学校は小中一貫校ということもあり、在校生として小学1年生から中学2年生までが参加。堂々と送辞を読んだ生徒も立派だったが、この送辞に合わせ行われた在校生による言葉が涙を誘った。小学生の元気な声から中学生の落ち着いた声までが送辞とうまく連携しており、何度も練習を重ねたことがうかがえる。息子たちは、1学年1クラスのため、長い子は保育園からずっと一緒だった。それが卒業することで離れ離れになってしまうのだ。普段はクールな息子も、この送辞の際は、涙を浮かべていた▼これから新たな道へ進むすべての人たちに幸あれと祈りたい。小さな一歩、少しずつの努力が、いずれはバタフライ効果のように、どこかで大きく育ち、実を結ぶはず。おじさんの私も、もう少し羽ばたいてみようかな。(せい)