大分建設新聞

四方山

切り株

2024年03月26日
 1922年の植樹というから1世紀以上にわたって大分市中心部の街並みを見下ろしていたことになる。この間には45年7月16日の米軍機による大分空襲もあった。中心市街地が焼け野原になっても、このクロマツだけは被災しなかった。瓦礫の中ですくっと立つその姿は、復興に立ち上がる人たちの励みになったとも伝わる▼同市高砂町の国道197号に面したところに植えられたクロマツは、周辺の人たちにとってはランドマークでもあった。激しい爆撃にも、そして100年余の風雪にも耐えてきたクロマツだったが、直径1㍍ほどの太い幹を内部から食い荒らすマツクイムシには勝てなかった▼迫る倒木の危険性に、県が下した判断は伐採だった。マツクイムシの体長はわずか3㌢ほど。発見が早ければ殺虫剤で駆除できるが、異変に気付く頃にはすでに幹の内部が蝕害のため空洞になっているケースが多いという。高砂町のクロマツもそうだったのだろう▼派閥の政治資金パーティー裏金事件に大揺れの自民党。再生を図る岸田文雄総裁もまた、獅子身中の虫を退治する心境かもしれない。4月上旬をめどに、関係した議員を処分する。読売新聞3月23日付紙面は、旧安倍派の幹部4人に対しては「選挙における非公認」の方向で調整していると報じた。党内を牛耳ってきた旧安倍派に厳しい態度で臨むことで、出直しをアピールする算段なのか。一方で旧岸田派などは対象外とも▼高砂町の伐採されたところには切り株が残る。新たな新芽―ひこばえを期待しているのかと思いきや、被害を周辺に広げる恐れがあるとして、いずれ撤去されるという。マツクイムシ駆除を見習えなどとは乱暴が過ぎる。けれども、まき散らした政治不信を党としてどうあがなうのか。国民の厳しい目を忘れてはなるまい。(熊)
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