大分建設新聞

四方山

竹の復活

2024年04月12日
 先ごろ豊後竹田駅の観光案内所、待合室改修が完工し、お披露目式があった。改修の際、ギネス記録を達成した流しそうめんに使った竹を腰壁の装飾に再利用、また竹炭を川に沈めて水質改善に役立てるなど、竹田市ならではの試みも。竹といえば竹灯籠だが、そもそもは景観を損なったり害獣の温床になる放置竹林対策に行った伐竹がきっかけ。近年は竹を加工して商品化したり、バイオマス発電の資源として活用するなど、市を挙げて竹の利活用に取り組む▼筆者の住まい周辺にも放置竹林が多く、共同墓地への小道は伸び放題の竹で薄暗い。が、良いこともある。孟宗竹のタケノコをご近所から毎年頂戴するが、先日刺身にして味わった。また林道沿いの竹やぶから伐り出した竹を、山歩きの杖に加工して愛用している▼竹造建築をご存じだろうか。竹は曲げや圧縮に強く、集成材にすることでさらに強度を増すことから構造部に利用できる。ベトナム、インドネシアなどのリゾート地では貝殻のような曲線の優美なデザインの建築物に生かされている▼竹を建材にするのは昔からある工法だ。戦時中、軍需に回される鉄の代替品として竹が利用されていた。岩手県の長者滝橋などが現存し、大分では玖珠町の旧米倉庫に構造材として竹を使っているらしいことが近年分かった。その名も「竹筋コンクリート」▼竹筋コンクリートは今、日本大学、東北大学などによる協議会で復活・実用化を目指す。専門家も鉄筋コンクリートと遜色ない強度が確保できると太鼓判を押す。研究グループは福島県南会津町で竹筋コンクリート製のU字溝を70㍍にわたり休耕田に設置。継続使用して耐久性などを検証するという▼竹は里山の厄介者だが使い方次第。今後、建設土木の世界で必要とされる可能性を秘めているようだ。(コデ)
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