大分建設新聞

四方山

避難計画

2024年06月05日
 3日、熊本市で開かれた九州地方知事会で、沖縄県八重山地方住民の台湾有事などの避難先案が示された。大分県は山口県、福岡県とともに石垣市の住民を受け入れる案が提示されたという。昨年7月まで石垣市に居住して大分市に移住した身としては何か因縁めいたものを感じる▼石垣市は人口約5万人だが、住民登録をしていない住民も多く数千人いるといわれている。島外避難の際には避難民は航空機を使用して、石垣空港から福岡空港に到着した後、大分など3県に向かうという計画だ▼同知事会は非公開のため詳細は分からないが、個人的には極めて複雑で困難なミッションに思える。まず第一に陸上自衛隊駐屯地の自衛官や海上保安庁の海上保安官をはじめとする国家公務員、市、県の関係部署の職員ら地方公務員が島に残留することになっても、4万人もの島民をどうやって航空機で運ぶのか。民間航空機をチャーターしてピストン輸送で運んでも2週間程度かかるという石垣市の試算があったが、あまり現実的とは思えない▼さらに台湾有事が発生する前に、どのような状況で避難するのか―というタイミングの難しさもある。その時点で制空権が保てているかどうかという点も大きな問題。さらに同じ八重山の竹富町に空港はなく、普段から石垣空港に依存しているため西表島など有人島9島の町民約4000人も、同空港を使用し福岡空港から長崎県を目指す▼台湾から110㌔ほどしか離れていない与那国町は、同じ八重山で人口約1700人ほど。陸上自衛隊駐屯地があり空港も整備されていて福岡空港から佐賀県へ避難することになっている。いずれにしても八重山住民の避難先は九州。まだ、この計画は端緒についたばかりだ▼個人的にも身近に受け止めており先行きを注視したい。(ゴウ)
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