大分建設新聞

四方山

時効まで5年

2024年07月05日
 毎週楽しみにしているのがNHK大河ドラマの『光る君へ』。最初は合戦シーンのない大河ドラマだなんて…と思っていたが、見始めたら止まらない。吉高由里子さんが演じる「まひろ」(紫式部)の成長とともに、貴族たちのドロドロの政争劇がジェットコースターのように描かれる▼ちょうど折り返しとなった6月30日放送の回では、夫から鏡を贈られたまひろが「このように映る鏡で自分の顔をまじまじと見たことはありませぬ」と言いながら、表情をつくるシーンがあった。ほほ笑む吉高さん…ではなく、まひろがかわいい。ところが、平安時代の化粧の基本は、表情を消すことにあったと、読売新聞のコラム「編集手帳」(6月20日)に教えられた▼この時代の化粧は、白塗り、眉なし、おちょぼ口、お歯黒が基本。眉を剃って額の上に眉を描き、口元も半分ほど白粉で塗り、残り半分に紅を差す。「眉をひそめる」「口元を緩める」などと例えられるように、眉、口は感情表現の源泉でもある。ところが、平安時代は感情を見せないことが奥ゆかしく美しいと考えられていたからだという。実際のまひろも随分と違ったのだろう▼この男は表情どころか、素顔を変えて逃げているらしい。2022年6月、別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件で、重要指名手配中の27歳の男のことだ。発生から2年が経過し、県警は新たに6枚の似顔絵を公開した。長髪、ひげ、眼鏡姿など七変化ならぬ六変化である▼元の手配写真とは随分と顔の印象が違う。手掛けたのは、警察庁が広域技能指導官に指定する沖縄県警の似顔絵描きの達人という。印刷したチラシは東京、大阪などでも配布される。並々ならぬ熱意が伝わってくる。それもそのはず、時効まであと5年。警察の執念が実ることを祈るばかりだ。(熊)
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