大分建設新聞

四方山

どじょう

2024年09月18日
 先日、テレビで宇佐市内の高校生たちがドジョウ料理に取り組む姿が放映されていた。宇佐市は養殖ドジョウの生産量全国一という。泥水ではなく、清水の中で育てられ、特有の臭みがないのが特徴。東京・浅草の老舗ドジョウ料理店でも使われているというから、その味は折り紙付きである▼とはいえ、食材としては地味め。宇佐市も織り込み済みなのだろう。ホームページでは「『ウナギ1匹、ドジョウ1匹』と言われるほど栄養価が高い」とPRに余念がない。そのドジョウがにわかに注目されている。立憲民主党の代表選に立候補した野田佳彦氏の「世襲の多い『金魚』たちに立ち向かっていく『ドジョウ』でありたい」と発言したのがきっかけだ▼かつては「ルックスはこのとおりです。ドジョウはドジョウの持ち味がある」と語ったことから、首相在任中は「どじょう宰相」と呼ばれたことも。自虐的すぎるが、かなりのドジョウ好きなのだろう。とはいえ、生まれながら地盤(後援会)、看板(知名度)、かばん(金)を持つ世襲議員を金魚に例えるあたりはなかなか秀逸だ▼乱戦模様の自民党総裁選に名乗りを上げた9人のうち5人が世襲議員である。下馬評の高い石破茂氏は2世議員。小泉進次郎氏にいたっては曾祖父から続く4世議員というから驚く。今世紀に入ってから小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、菅義偉、岸田文雄の6氏が政権を担ったが、世襲でないのは菅氏一人である▼各候補とも政治改革を訴えるが、果たして〝既得権益〟に守られた世襲議員がどこまで踏み込んで実行できるのか…とも思ってしまう。一方の時期を同じくして代表選が行われる立憲民主。それこそ、自民党に比べると注目度は格段に落ちる。その意味では、ドジョウの例えは当たっているよう。(熊)
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