セクハラ
2025年04月11日
「楽しくなければテレビじゃない」。こんなキャッチフレーズで、バブルの時代を疾走し、一時は民放の雄とうたわれたフジテレビ。いつの間にか往時の輝きは消え去り、今は世間の指弾を浴びるありさまである。超人気タレント(現在は引退)による、同局女性アナウンサーとのトラブルに端を発した一連の騒動。公表された第三者委員会の報告書は衝撃的だった▼報告書によると、セクハラ被害の報告は118件にのぼった。アンケートでは「女性は男性の隣に座り、お酌をするのが仕事。それがスマートにできない女性は仕事を評価されないという文化、人事権を有する者に絶対服従しないといけない風潮がある」とする回答もあったという。それらを受けて報告書は「全社的にハラスメント被害が蔓延していた」と断じた▼煎じ詰めれば、ハラスメントが企業風土だったというわけだ。だが、フジテレビだけの問題だろうか。例えば、かつては聖職と呼ばれた教師たちのことである。宇佐市内の小学校では先ごろ、50代の男性教頭が勤務時間中に部下の女性教諭に抱きついたりキスしたりする「不適切行為」をしていたことが明るみに出た▼直後には、県内の中学校の男性校長がこれまた部下の女性教諭の胸などを複数回触るなどしたとして、強制わいせつの罪で起訴されていたことが発覚した。教育現場での、それも校長、教頭という管理職による〝性犯罪〟である。子どもたちは大丈夫なのであろうか▼気になるのは対応の甘さだ。宇佐市内の男性教頭の場合、市教委が下したのは文書訓告処分である。フジテレビにハラスメントが蔓延していた理由について、先の第三者委はこう結論づけた。「適切な対処がなされず、結果としてさらに被害が生じるという負の連鎖が繰り返されてきた」。傾聴に値する。(熊)