大分建設新聞

四方山

ピーピーヨン

2025年04月15日
 ピーピーヨン。事件記者の間では、そんな符丁で呼ばれていた。昭和が終わろうとしていた1984年から翌年にかけて社会を震撼させたグリコ・森永事件である。警察庁広域事件114号に指定されながら未解決事件に終わった。ピーピーヨンはその指定番号にちなむ▼菓子メーカー江崎グリコの社長誘拐が発端だった。社長は無事に解放されたが、そこからが始まりだった。「かい人21面相」を名乗る犯人グループは青酸入り菓子をばらまき社会を不安に陥れた上で企業を脅迫した。だが、犯人たちは現金奪取に失敗し、一方的に「集結宣言」を発すると動きは止まり、そのまま闇に消えた▼一見失敗に終わったかに見える犯罪だが、実は目的を達成していた、とする説が捜査関係者の間ではささやかれている。被害に遭った食品メーカーの株価は事件直後、急激に下がった。終結宣言を機に元の株価に戻り始めたが、その間の株売買でばく大な利益を手にしたというのである。つまり脅迫はカモフラージュであり、最初から株価操作が目的の犯行だったというわけだ▼世界中の株式市場が荒れている。トランプ米大統領が発表した「相互関税」の影響で株価は大幅な下落を記録し、日本の株式市場も90年4月のバブル崩壊クラスの下落に陥った。すると、相互関税発動直前になって、突然「90日間延期する」と宣言。当然、ニューヨーク市場などは反転、高騰し史上最大の上げ幅を記録した▼事実上、トランプ氏による株価操作であろう。おまけにトランプ氏自身が一時停止の発表の4時間前、SNSに「買い時だ」と株購入を促すような投稿をしていたという。事実ならインサイダー取引の疑いすら浮上する。ピーピーヨンの人質は菓子だったが、こちらは世界経済である。恐ろしい時代になった。(熊)
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