大分建設新聞

四方山

離職

2025年04月18日
 新年度が始まり、新入社員を迎えた企業も多いことだろう。優秀な人材確保は、企業にとっては明日への投資である。同時に人材の定着は、各企業の重要課題になっている。転職が当たり前の時代の中、業種に関わらず昨今の離職率の高さは、おしなべて経営者共通の悩みの種になっているようだ▼終身雇用制が崩れ、新入社員の高い離職率が続いている。厚生労働省が昨年10月にまとめた集計によると、2021年3月に卒業した新規就業者の3年以内の離職率は、高卒者で38%、大卒者で35%と、直近15年では最高の水準らしい。「石の上にも3年」と言われたのは今は昔、「新入社員の3人に1人は早期退職する」時代になっている▼そうした状況を反映して、大盛況なのが「退職代行サービス」である。本人に代わって、会社との退職手続きを行う。その最大手のアルバトロス社(東京都)が提供するサービスが「退職代行モームリ」。「もう無理」をもじった名称であることは言うまでもない。24年度だけで2万6000人からの依頼があったという▼昭和生まれの身からすれば、「退職届の手続きぐらい自分の責任でしなくてどうする」と茶々を入れたくもなる。入社してからの日々を思えば、「ご迷惑をお掛けします」のひと言も口にできないようでは、採用した企業の方こそ、それこそ「もう無理」と泣きたくなる気分であろう▼独立行政法人の労働政策研究・研修機構によると、離職理由のベスト3は健康、待遇、人間関係―の三つ。現状を改善するための離職のはずだが、必ずしもハッピーエンドにはなっていない。リクルートワークス研究所の調査では、21年4月以降に正社員として就職した大卒者のうち、3年未満で離職した人のうち25%は非正規社員になっている。甘い道ではないらしい。(熊)
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