赤沢大臣
2025年04月22日
日本の命運を握る大役といって過言ではあるまい。常識外の高関税を吹っかける米国との交渉の責任者を任された赤沢亮正・経済再生担当相のことである。東京大法学部出身、旧運輸省を経て政界入り。米コーネル大でMBAを取得したエリートである。何よりも同じ鳥取県を地盤とする石破茂首相の最側近であることも強みだ▼加えて、大きな声では言えないが、その性格も好材料かもしれぬ。しばしば取り沙汰されるパワハラ気質のことである。『週刊新潮』などは「赤沢大臣の〝困った評判〟と〝面従腹背〟」(2月6日号)という特集記事で、秘書へのパワハラ疑惑を報じたほど。確かにメガネの奥の笑わない目には、すごみが見え隠れする▼考えようによっては、専制君主のような米国との交渉役にはうってつけのよう。相手は、これまで国際社会が営々として築いてきた世界秩序を破壊してまで「アメリカ・ファースト」を貫こうとするトランプ政権である。日本国のプライドを賭けて、強気で交渉しない限り日本の経済は守れない▼ところが、である。16日(現地時間)の初交渉の席に、トランプ大統領が出てくると、赤沢氏はこうのたまった。「明らかに、格下も格下ですので直接話をしてくださったことは、本当に感謝しております」。トランプ氏におもねるような卑屈すぎる発言だった、もしかして、単に「弱気をくじき強きを助ける」気質だった?▼かみついたのが立憲民主党の野田佳彦代表。「自分で言っちゃいけない。国を代表した矜持というものがあると思う。気迫を示してほしかった」と苦言を呈した。その通りだろう。果たしてトランプ氏が赤沢氏、要は日本をどう評価したのか。くみしやすいと思ったのか、それとも…。これから本格化する日米交渉の中で明らかになるのだろう。(熊)