随契
2025年05月28日
最近の米騒動で、政府は備蓄米を放出したにもかかわらず、店頭価格が下がらないどころか放出した量のわずか7%しか市場に出ていない状況から、備蓄米の売り先をJAなどの集荷業者からスーパーなどの小売業者に随意契約の方法で売り渡し、店頭価格を2000円程度に決定した▼随意契約と言えば、その昔、官民癒着の温床だと言われ2006年から随意契約の総点検が行われ、可能な限り競争入札にするなどの措置が取られた。県は随意契約したものをその理由も含め公開している▼国の法令によると、随意契約することができる場合は25項目あり、そのうち、売り払いに関するものは11項目あるが、今回の随意契約はそのどれにも該当しそうにない▼小泉農林水産大臣は、今回の措置はコメを速やかに安く消費者に届けるための政治判断だと言っているが、大丈夫だろうか。しかも売り渡し先は、年間1万㌧以上を取り扱う大手小売業者という。これでは、身近な街のお米屋さんはどうなるのだろうと心配になる▼そもそも備蓄米は、1993年の記録的な冷夏による深刻なコメ不足で、消費者がスーパーに殺到するいわゆる「平成の米騒動」を契機に導入されたもの。現在、政府は年間消費量の約1割に相当する約100万㌧のコメを備蓄している▼今回の米騒動が令和の米騒動だとすると、備蓄米放出は遅きに失したのではないか。しかも当初は競争入札で一番高い値を付けた業者に売り払う契約をしている。これでは安く市場に出回るはずがない▼当初の売り渡し価格に比べ、今回の価格は半値近くの60㌔当たり1万700円で、先着順だというが、当初高額で落札した業者や中小の小売業者と不公平にならないか。また法令のどの項目に該当するか、政府には丁寧な説明が求められる。(筋)