大分建設新聞

四方山

ご神徳

2025年05月29日
 これも創建1300年の節目を迎えた宇佐神宮のご神徳の現れだろうか。つい先日、将棋の名人戦で大いに盛り上がったばかりの宇佐市が再び脚光を浴びようとしている。地元出身で「昭和の大横綱」とたたえられる双葉山の伝記映画が制作されることになった。少年時代を軸に描くというから宇佐が主な舞台。地元の期待もいやが上にも盛り上がろうというものだ▼今なお破られない前人未到の69連勝である。その実、幼少の頃にけがで右目の光を失い、右手小指も家業の海運の仕事を手伝っていて、船具に巻き込まれて欠損したと伝わる。力士としては致命的なハンデである。そうした困難を乗り越えての偉業とくれば、映画の素材としてはうってつけであろう▼双葉山といえば「われ、未だ木鶏たりえず」という、連勝が止まった時の言葉がよく知られている。木鶏―無心ではなかったというわけである。もう一つ名言を残している。「稽古は本場所のごとく、本場所は稽古のごとし」。その精神を令和の時代に体現したと評されるのが、日本出身力士として8年ぶりの横綱昇進を決めた大の里だ▼無類の稽古好き。それに裏打ちされての初土俵から所用13場所でのスピード出世となった。相撲人気アップの予感も。双葉山の映画制作に当たり、市は300万円を上限に補助金を支出するというのも納得できる。上げ潮に乗る宇佐市だが、これは少しばかり水を差すような騒ぎかもしれぬ▼公用車1台を1カ月近く車検切れのまま走らせていたという話だが、あろうことか車体には「交通ルールを守ろう」と書かれ、交通安全の広報活動で使われていたというから苦笑いするしかない。「うっかり」に足元をすくわれた格好だ。好事魔多し、とも言う。これもまた、神様が宇佐市に授けた「ご神徳」かもしれない。(熊)
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