大分建設新聞

四方山

組織点検を

2025年06月09日
 「市の職員が議員の依頼を断るのはかなり困難だと思う」。よくよく聞くと仰天するような言葉を発したのは、大分市の足立信也市長である。市発注の除草などの業務委託を巡り、現職市議(すでに辞職)らが逮捕された公競売入札妨害事件について、5月30日の定例会見でそう述べた▼事件は単純だ。この市議は市職員から予定価格を聞きだし、特定の業者に流していたという構図だ。通常であれば、入札情報を漏らした市職員も罪に問われるところだが、今のところその兆しはない。奇妙なことだが、ひとまずそのことは置くとして、足立市長はこうも述べた。「相当広い範囲でかなり以前から、市職員から市議への予定価格の漏洩があったと思う」(日本経済新聞電子版)▼先に発覚したごみ収集運搬業務委託を巡る官製談合事件では、特定業者への「行き過ぎた配慮」があったと述べていたが、今回の発言は「予定価格の漏洩」が市役所内では「慣習化」していたことを明かすような内容である。入札業務の公平性を担保しているのは、市職員のモラルのはずだが、長年にわたってそれが機能していなかったとすれば、問題の根は深い▼そして、今度は市上下水道局の専門員が、かつて随意契約を結んでいた業者から10万円を借りていた問題が発覚した。しかも専門員は随意契約業務にも携わっていたというから穏やかではない。なぜ、金を借りる相手がその業者だったのか―。そう問いたくなる▼ほとんどの職員が使命感を持った真面目な人たちであることは承知している。だが、わずか半年足らずの間に、不祥事がこうも立て続けに起きるのは異常事態であろう。組織の空気がどこか緩んでいる証拠ではないか。一滴の漏水から水道管の腐蝕は始まる。再発防止に向けて、徹底した組織点検が望まれる。(熊)
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