大分建設新聞

四方山

蜜月

2025年06月17日
 〝蜜月〟は、しばしば突然終わる。トランプ米大統領と実業家イーロン・マスク氏の関係が、劇的な終幕を迎えている。かつて「友人であり助言者」とまで語られた間柄は、トランプ政権が打ち出した減税法案をきっかけに決裂。マスク氏が「法案は知らなかった」「(大統領選で巨額の寄付をしたのに)恩知らず」などと痛罵した▼トランプ氏もマスク氏の主力事業が電気自動車(EV)メーカー、テスラ社であることを踏まえて「政権がEVの義務化の方針を見送ったことへの逆恨みだ」と、マスク氏が邪悪な思惑で自身に接近していたことを暴露するように応戦した。SNS上で繰り広げられたこの破談劇は、高度に道徳的であるべき政治が、いかに感情によって支配されているのかを世界中に見せつけた▼感情が燃え上がるからこそ結びつき、また同じ熱量で反発し合うのだろう。スケールはいささか小ぶりだが、国民民主党が参院選比例代表候補として準備を進めていた山尾志桜里氏の公認をめぐるドタバタ劇の一件も、似たような構図が浮かび上がる▼醜聞で2021年に政界から引退した山尾氏の政界への復帰を後押ししたのが蜜月関係を築いていた同党の玉木雄一郎代表だった。党公認の道筋も整ったはずだったが、かつての醜聞が週刊誌報道などで蒸し返され逆風にさらされた。結局、公認は見送りに。この仕打ちに山尾氏は猛反発、「統治能力に深刻な疑問がある」などとする声明を出した。意趣返しである▼「対決より解決」を掲げ、昨秋の衆院選では公示前の4倍の議席を獲得し存在感を高めていた国民だが、その「解決力」に疑問符が灯る一幕となった。支持率が低迷する中での痛恨事であろう。感情的な蜜月関係の破局は「中道改革政党」を掲げる国民の屋台骨を揺るがすかもしれない。(熊)
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