大分建設新聞

四方山

安全保障

2025年06月23日
 「墨塗られし教科書手にし立ちすくむ/子らの瞳の奥に国敗れたり」。歌人、竹山広さんの作品である。80年前、敗戦を期に天皇中心の歴史は否定され、教科書の該当部分は墨で塗られた。きのうまで信じていたものがガラガラと崩れていく。そんな戸惑いが三十一文字から浮かび上がる▼敗戦の激動と比較するのはやや気が引けるが、70年にわたって正しいとされてきた「指標」が実はそうではなかったと、今さら言われても困惑するばかりである。コメの作柄を示す「作況指数」が廃止される。コメのできばえの目安として、国民生活にもなじみ深かった。1956年から続いているのに、何でまた…と思ってしまう▼昨今のコメ価格の高騰で、実態を示していないのではないか、という疑問の声が噴出し、廃止の判断になったという。ちなみに2024年度産は作況指数は平年を100とした場合、101で「平年並み」だった。この間、国民は誤った指標でだまされていた、ということなのか。だが、世界を見渡せば、これもメッキがはがれそうだ。「民主主義国家の盟主」という言葉である▼民主主義の価値観を支持し、国際社会におけるリーダーシップを発揮してきた米国。一体どうなってしまったのだろうか。トランプ大統領は34年ぶりに首都ワシントンで軍事パレードを実施した。開催したのは自身の誕生日である。軍の私物化のような振る舞いにも見える。案の定「ノー・キングス(王様はいらない)」を叫ぶデモが広がったという▼そしてあろうことか、パレスチナ・ガザ地区でやりたい放題のイスラエルを支援するかのように、唐突にイランの核施設を空爆した。世界に戦争という災厄を振りまくつもりなのだろうか。今や米国自体が世界の安全保障の大きなリスクになっているようにも見える。(熊)
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