正義の味方
2025年06月25日
子どもの頃のヒーローは、赤胴鈴之助や月光仮面などで、弱きを助け強きをくじくといった正義の味方であった。しかし、最近の世界情勢に目を向けると力の強いものが正義だという考え方のようだ▼アメリカを再び偉大な国にすると言ったトランプ大統領は、ロシアのウクライナ侵攻に対しウクライナを援助するどころかゼレンスキー大統領に降伏を迫ったという。今回のイスラエルのイラン攻撃でも双方の攻撃の応酬による戦争の激化を防ぐどころか、一緒になってイランを攻撃し大成功を収めたとうそぶいている。そして、イランとイスラエルが停戦に合意し、トランプ大統領の思惑通りになったかに見える▼日本では戦後80年となる年を迎え、沖縄では慰霊の日の追悼行事が行われた。沖縄県はアメリカ軍と3カ月に及ぶ戦闘で県民の4人に1人を含む20万人以上が犠牲になったと言われている。そして、今もなお全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中し、過重な基地負担が続く。石破茂首相は「負担軽減を目に見える形で実現する。それが私の強い決意だ」と述べたが具体的な言及は無かった▼戦争は、ほかの生物から見ると人類の共食いではなかろうか。力による支配がもの凄い労力を必要とし、長続きできないことは歴史が証明している。アメリカはベトナム戦争やイラク戦争で痛い目に遭ったことを忘れたのだろうか▼ところで、今回のイスラエルによるイラン攻撃以来、ウクライナとガザ地区の報道が極端に減ったように思うのは私だけか。もし、中国が台湾に侵攻したら力の強いものに味方するトランプ大統領は、台湾に降伏を迫るのだろうか。いや日本が侵攻されたらトランプ大統領はどうするのだろう。戦争にアメリカが仲介でなく加担することで、世界大戦になると思うと夜も寝られない。(筋)