大分建設新聞

四方山

他山の石

2025年06月26日
 「他山の石」なのか、それとも「熱さに懲りてなますを吹く」の腹づもりなのか…。入札を巡る事件が相次いだ大分市は4月、再発防止策として、業務委託契約の予定価格の事前公表に舵を切ったが、県も7月から同じ対応を取るという。入札や契約の透明性と公平性の確保が狙いという▼周知のように公共団体発注の事業の多くは、予定価格が事前に公表されることはない。自由競争の原理が働きづらくなり、価格の上昇を招きかねないとされているからだ。また、官製談合は防げても、逆に業者間の談合が増えやすくなるとも指摘される。だが、多少の副作用はやむを得ないという判断なのだろう。荒療治に、これ以上不祥事が続けば役所の信頼は地に落ちてしまう、という危機感がにじむ▼こうした緊張感に比べて、日本最強の捜査機関と呼ばれる役所の姿勢は一体何なのだろうと思ってしまう。化学機械メーカー「大河原化工機」を巡る冤罪事件で、警視庁と東京地検の幹部は横浜市の同社を訪れ謝罪した。国家賠償請求訴訟で「起訴は違法」とする判決が確定したタイミングを見計らったのだろう▼警視庁が強制捜査に乗り出したのは2020年。翌年に起訴を取り消したことを思えば遅すぎる謝罪である。逮捕拘留された幹部の一人が病死したことを思えば、取り返しの付かないミスである。本来であれば、警視総監、検事長といったトップが赴くべきなのに、ナンバー2クラスでお茶をにごした▼それだけでない。そろいもそろって、謝罪相手の名前、あまつさえ社名まで間違えるという醜態をさらした。この体たらくならば、不法捜査もむべなるかなであろう。犯罪を作り上げた罪はあまりに大きい。指名停止ならぬ活動禁止に値するというのに、この無反省ぶりは、どこからきているのだろうか。(熊)
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