大分建設新聞

四方山

悲嘆の声

2025年07月15日
 石破政権にとって、まさに「青天の霹靂」だった。トランプ米大統領が8日、日本製品に一律25%の関税をかけるとSNSで通告した。4月は24%だったから、あえて1㌽「上乗せ」してきた格好だ。参院選で与党が苦戦する中での発表に、自民党内では「最悪のタイミング」「野党に攻撃材料を与えた」と動揺が広がった▼この時ばかりは、石破茂首相も「誠に遺憾」と不快感を露わにした。翌9日には「(日米関税交渉は)国益を懸けた戦いだ。なめられてたまるか」とたんかを切った。「例え同盟国でも言うべきことは言う」とも。超大国と言えども、侮られてなるものか、という意地であろう。滅多に感情を表に出さない石破首相にとっては異例だ。もしかしたら、あの一件が頭の片隅にあったのではあるまいか▼自民の鶴保庸介参院議員がまさしく「25%ショック」が列島を駆け巡った同じ8日、和歌山市の応援演説で放ったひと言である。「運のいいことに能登で地震があった」。複数の拠点で生活したり働いたりする「二地域居住」の必要性を論じる中で語られたとは言え、いくらなんでも被災者感情を逆なでする発言だった▼「同盟国」と信じ、国民にもそう信じ込ませていた米国から突きつけられた「関税率25%」通告。政府・自民党が頭を抱える中での暴言。参院選での自民党の劣勢が伝えられており、まさに石破政権にとっては「泣きっ面に蜂」の一撃であろう▼それにしても、と思う。どうして被災地に寄り添う言葉が出てこなかったのかと。あれほどの被害を出し、いまだ生活再建の道筋が立っていない住民も少なくないというのに、である。一事が万事であり、国民生活など眼中にないのだろう、とさえ思えてくる。「なめられてたまるか」。それこそ国民の悲嘆の声であろう。(熊)
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