粘り
2025年08月27日
沖縄尚学高の初Vで幕を下ろした甲子園だが、課題を残した大会となった。大会途中で出場辞退した広陵高(広島)問題だ。開会直前に発覚した暴力問題。懸念の声を押し切っての出場となったが、沸き起こる批判に「2回戦辞退」という異例の展開となった。グラウンドに響くはずだった金属バットの音は消え、代わりに「ガバナンス欠如」という重たい言葉が残された▼世論に抗しきれなかった広陵高をせせら笑うように、異様なタフネスぶりを見せているのが静岡県伊東市の田久保真紀市長である。学歴詐称問題を巡るドタバタ劇は、一度は辞意を表明しながら全面撤回したことで、さらに混迷の度合いを深めている。抗議の電話で市役所業務がマヒしても、気にするふうでないのは「粘っているうちに事態は収束する」と信じ込んでいるかのようだ▼だが、粘り腰という点では、この御仁が当代一であろう。石破茂首相である。7月の参院選での自民党大敗を受けて、読売新聞などで「退陣へ」と報じられた。党内に広がる「石破おろし」の風。ところが、最近の石破氏は余裕のようなものさえ感じさせる。その源泉は世論であろう▼朝日新聞の調査によると、首相辞任の「必要なし」が過半数を占めた。自民党支持率は20%にとどまっているというのに、内閣支持率は36%に上昇し、政党支持率を上回るという異例の現象が起きている。アフリカ諸国、韓国との外交日程を精力的にこなしているのも、世論の支持があればこそだろう▼自身の「引責辞任」につながりかねない総裁選前倒しの議論を巡っても、封じ込める手立てを講じるかのような気配も漂わせる。退陣か続投か…。政治の力学は複雑さを増している。粘りが美徳となるのか、それとも迷走の果てとなるのか。答えはそう遠くない。(熊)