大分建設新聞

四方山

老朽化

2025年08月28日
 埼玉県行田市で4人の作業員が命を落としたマンホール転落事故は、あまりにも痛ましい。救助に向かった仲間までもが次々に倒れ、最後は誰も戻れなかった。安全対策の不備が原因らしい。今年1月に同県八潮市で起きた大規模な道路陥没事故を受け、国土交通省は老朽化した下水道管を対象に全国緊急点検の号令をかけた。同現場も行田市から請け負った民間業者が作業を進めていた▼同市は事故の3日後、「下水道管路点検調査業務での事案顛末について」と題する文書を公表した。発注した市は法令を遵守しており、責任がないことを強調する内容だった。死者を悼む言葉は一言も見当たらなかった。そもそも「顛末」という言葉自体、死者を出した労災事故にふさわしいものであるのか疑問が残る▼事故原因の解明は今後の警察や労基署の捜査に委ねるしかない。報道によれば、作業員は安全帯も呼吸用具も着けていなかったという。危険性を十分に認識していたのだろうか。4人の命が一度に奪われた事実を、業者の過失だけに矮小化してよいはずがない。安全管理の徹底を誰がどう監督するのか。発注者である自治体に責任がないとは言えまい▼本紙8月1日付紙面は、国の『インフラ長寿命化計画』見直しの動きを報じていた。記事にはこんなくだりがあった。その現場を担う市区町村では「土木部門の職員が30年間で26%減少している」。担い手不足で逼迫している状況が浮かび上がる▼行田市の態勢がどうであったかは分からない。だが、県内を見渡してみても、限られた人員のなかで現場を支える力がかつてほどではない、と感じる自治体も散見される。老朽化するインフラ対策は喫緊の課題である。それ以上に、一義的な責任を負う自治体の姿勢、態勢もまた問われているのではあるまいか。(熊)
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