大分建設新聞

四方山

シェイクアウト訓練

2025年08月29日
 シェイクアウト訓練をご存じだろうか。突然の地震から身を守るため、家庭や職場で、机の下に入ったり、かばんなどで頭を守る行動をとる1分間の地震防災訓練だ。シェイクアウトは米国の地震研究チームが提唱した造語で「まず低く」「頭を守って」「動かない」の三つが基本動作。時期は異なるが、各地の自治体や企業などでも行われている▼大分市では昨年に続き、防災の日の9月1日に実施する。午前11時45分に防災メールやサイレンで市民に地震を知らせ、職場や学校、家庭で取り組んでもらう。「まずは実践から!」なので、頭を守る動作だけでも実際にやってほしい▼防災の日は1923(大正12)年9月1日に起きた関東大震災を教訓に、国民の防災意識を高めようと制定された。10万人以上の犠牲者を出したこの大地震については、予知を巡って対立した学者のエピソードが興味深い。史実を綿密に取材して書く作家吉村昭氏の著書「関東大震災」に詳しく書かれている▼当時、日本の地震研究の最高権威だった東京帝国大学教授と、その部下だった助教授。地震から十数年前の明治末期、助教授が「今から50年以内に東京で大地震が起き、死者は10~20万人にのぼる」と予測した。しかし教授はそれに異を唱え、激しく対立する。そして18年後に関東大震災が発生し、予測は的中する。一躍注目された助教授と、予測を否定して非難を浴びたまま世を去る教授の明暗が描かれている▼当時と比べ、地震研究は進歩しているが、予知は極めて難しい。AIなど科学技術の発展は目覚ましいが、地球の奥深くで気まぐれに起きる自然現象に対し、科学はまだまだひ弱であり、私たちは常に備えるしかない。鹿児島県トカラ列島近海の地震は8月末までに、2千回を超え、いまだに続いている。(政)
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