大分建設新聞

四方山

政治を治す

2025年09月02日
 「身を切る改革」を看板に掲げてきたはずの日本維新の会が苦境に立たされている。勤務実態のない公設秘書の給与を国からだまし取った疑いがあるとして、東京地検特捜部から家宅捜索を受けた同党所属の石井章参院議員。党除名の処分を受け、辞職の意向を示した。「政治とカネ」の問題が、またも永田町を覆った▼もともと「身を切る」とは、議員自らの歳費削減や報酬カットを財源に、政策を実行するという触れ込みだった。候補者の公認の際には誓約書まで書かせている、と維新幹部は胸を張っていたはずである。だが切ったのが自らの身ではなく、税金の財布。秘書給与という血税を抜き取っていたのだからあきれる。しかも、石井氏は党の国会議員団両院議員総会長などを務めたベテランである▼7月の参院選における維新の比例得票は、4年前から340万票減、過去最低水準だった。執行部を刷新したばかりの不祥事で、ガバナンス欠如への疑念はさらに深まる。石井氏の娘も同党参院議員という。親子して同じ党の国会議員というのはあまり聞かない。党の統治に問題はなかったのか▼皮肉めいたもの言いになるが、石井氏本人がバッジを失っても、政治家としての家業は安泰であり、はるかに危機管理のガバナンスが効いていた、ということであろう。ついつい想像してしまう。もしかして、石破茂首相は石井氏のガバナンス力を多少なりともうらやましく思っているのでは…▼そんなことはあるはずもないが、自民党総裁選の前倒しを巡る議論がいよいよ重大局面を迎える中、党総裁として石破氏が党の基盤をどう立て直していくのかが厳しく問われている。「誰が座るか」より「どう治すか」が喫緊の課題であろう。政治の設計不良を放置すれば、国民の信頼という柱は揺らぐばかりだ。(熊)
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