石破総理が辞意表明
2025年09月08日
今夏の暑さは記録ずくめだった。連日のように猛暑日が続く日田市では、県内の過去最多日数を更新した。全国的にも6~8月の平均気温は平年より2・36℃高く、統計を始めた1898年以来、最も暑い夏となった。熱中症搬送も過去最多を記録し、国民生活を直撃した▼そんな気候の異変も多少は影響しているのだろうか。秋の声が聞こえるはずの9月に入っても衰える気配のないのが永田町の「熱気」である。参院選の大敗を「私の責任」と語りながらも粘り腰を見せ、時に衆院解散カードをちらつかせて局面打開を探った石破茂首相。しかし、与党幹部の辞任ドミノに耐えきれず力尽きた。孤立を深める中、石破氏は7日、辞意を表明。「総裁選には出馬いたしません」と言葉を絞り出した▼思えば就任から1年足らず。戦後最短で解散・総選挙に踏み切ったものの大敗し、党内での求心力は低下。物価高や「政治とカネ」を巡る問題でも対応が後手に回り、内閣支持率は低迷した。地方創生をライフワークに掲げたが「道半ば」と自ら総括せざるを得なかった▼記者会見で石破氏は「地位に恋々とするものではない」と強調したが、その表情からは言葉とは裏腹の「無念」の思いが伝わってきた。頭をよぎったのは、頼みの綱と定めていたとされる森山裕幹事長だったか。幹事長職の辞意に「あなたもか」とうめいたとも報じられた▼炎暑とともに熱を帯びた政局は、これから総裁選に舞台を移す。ただし、いかなる新体制が立ち上がろうと、少数与党の苦しい立場に変わりはない。日本社会は息苦しさを覚えている。物価高による生活の圧迫や、緊張感を増す東アジア情勢…。国民にとっては「道半ば」では済まされない問題である。であればこそ、何より求められるのは政治への信頼回復であろう。(熊)