大分建設新聞

四方山

賞味期限切れ

2025年09月18日
 宇佐市内の中学校で、賞味期限を3カ月過ぎたパンが給食に提供された。生徒が袋を見て気付いたという。業者は「半年過ぎても細菌は発生せず品質に問題はない」と火消しに躍起のようだが、では賞味期限とは何のために…という疑問がわいてくる▼石破茂首相の退陣表明を受けての自民党総裁選の構図が固まった。小泉進次郎、高市早苗、林芳正、小林鷹之、茂木敏充の5氏による対決になる見通しである。顔ぶれは1年前とほぼ同じ。決戦投票で石破氏に敗れた高市氏、初出馬で存在感を見せた小泉氏が有力候補とされるが、茂木氏や林氏も捲土重来を期す。小林氏も世代交代を訴えるが、全員が前回総裁選の出馬組である▼「賞味期限」と言うのは酷にしても、新顔がいないというのはどういうことなのだろうか。参院選での歴史的敗北を受けて「解党的出直し」を決意したというのに、志のある若手は育っていなかったと見える。立憲民主党の野田佳彦代表は「1年前の敗者復活戦みたいなもの」と強烈に皮肉った▼ただ、参院選について「事実上の敗北」と総括した立憲にしても事情は似たようなものだ。「安定感と刷新感のバランス」を掲げ、ベテラン安住淳氏を幹事長に据えた新体制で出直しを図る。若手を登用したとはいえ、目立つのは旧民主党時代にお馴染みだった顔ぶれ。「品質に問題はない」と言われても刷新感には乏しい▼グローバル化への反発だろう。米国、欧州では右派勢力が急伸している。日本でも「国家主権の憲法草案」を掲げる参政党が躍進している。与野党とも「賞味期限切れ」感が漂う中、国民主権という国のかたちが泣くような政治状況だ。だが国家主権の時代が何をもたらしたか。それを思えば民主主義そのものが「賞味期限切れ」とならないことを願うばかりである。(熊)
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